好天が続いた秋田の週末。女子セブンズに新しい風が吹いた。
5月14日、15日に秋田市・あきぎんスタジアムで開催された太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2016のカップ(最上位)トーナメント決勝で日本体育大学ラグビー部女子が初めて優勝した。追手門学院大学女子ラグビー部を40-5と圧倒した。
準決勝でファイナリストはビッグパフォーマンスを見せた。日体大は東京フェニックスを19-5で下し、追手門学院大は26-19でアルカス熊谷を撃破。外国人選手のいるパワフルで大人のチームを破り、ともに勢いがあった。特に昨季のシーズン女王で、今季初戦の保土ヶ谷大会も制したアルカスをやっつけた追手門はいい仕上がりのように感じられた。
しかし、ファイナルのキックオフが鳴ると日体大が前半だけで3トライを奪う高い集中力を披露した。
開始1分に庵奥里愛が蹴ったキックを清水麻有がチェイスして先制点を奪うと(5-0)、6分にはシンビンでひとり少ない状況ながら自陣でのターンオーバーから攻める。今度は庵奥が自分で走ってトライを決め(12-0)、8分に1トライを返されるも(12-5)、その1分後のキックオフを受けてできたラックから、ショートサイドを駆け上がった伊藤優希が60メートル近くを走り切る(19-5)。後半開始2分にも自陣ゴール前のスクラムから攻めて取り切るなど(26-5)、最後まで流れを渡すことなく完勝した。
BKの要である山本実、ルーキーの清水を筆頭に、積極的に攻めて計6トライを奪った日体大。しかし、リズムは防御で作った。自分たちの形に持ち込めたのは、組織で守り、倒れてもすぐに立ち上がり続けたからだ。
個々の仕掛けによる半ブレイクからスペースを攻め、攻略する追手門に我慢比べを挑み、勝った。片岡瑞帆主将は「やってきたことを出し切ろう。それだけを行ってピッチに出ました」と話し、古賀千尋ヘッドコーチは「組織は個にまさる。そう言ってきました。粘り強く守る。すぐに起き上がることを意識していました」と喜んだ。そして、「1年前の秋田(大会)では10位でした。嬉しいですね」と目尻を下げた。
大会MVPに選ばれた司令塔の山本は「ポテンシャルの高いチームメートの力を引き出しただけ。みんなにもらった賞です」と語り、仲間の輪の中で喜びに浸っていた。