ラグビーリパブリック

互いにメリット。サンウルブズとジャパンが合同練習実施。

2016.05.04
練習を終えて笑顔の両チーム主将。日本代表・内田啓介(左)と
サンウルブズ・堀江翔太。(撮影/松本かおり)

 そこに国内のトッププレーヤーの多くが集まった。
 5月3日、東京・辰巳。サンウルブズと日本代表が合同練習をおこなった。ともに、今週末に試合を控えている。4月23日、ジャガーズ(アルゼンチン)からスーパーラグビー初勝利を奪ったサンウルブズはえ5月7日(秩父宮)のフォース(オーストラリア)戦で連勝を狙う。4月30日にアジアラグビーチャンピオンシップで韓国を85-0と圧倒した日本代表は、5月7日に敵地で香港と対戦。こちらも連勝がかかっている。

 ジャパンがもうひとつの国内トップチームを『格上』と呼び、学ぶ。少し違和感のある状況だ。サンウルブズや他のスーパーラグビーチームに、昨秋のワールドカップに出場した日本代表の中核が参加し、開催期間の重なるアジアでの戦いには、彼ら以外のメンバーで。そんな背景があるから『サンウルブズ>ジャパン』の関係性がある。
 しかし、合同練習は互いにメリットがあった。サンウルブズを率いるマーク・ハメット ヘッドコーチは「試合のない週を過ごした自分たちにとって、あらためて強度の高いコンタクトレベルを体験するのにいい機会でした。アイデアの交換もできたし、こういう形での競争は選手たちの最大能力を引き出してくれるもの。ジャパンにとっても香港は(先週戦った)韓国より強い相手でしょうから、よかったのでは」と言った。日本代表の指揮を執る中竹竜二ヘッドコーチ代行は「いい学びになった」と話し、続けた。
「韓国と戦って自分たちの力は分かった。自分たちのやりたいこともあります。そういう頭の中にあるものを実戦形式で試すことができました。きょうも自分たちから動く、アクションラグビーをやっていこうと言いましたが、選手たちもその気持ちをよく出してくれていました。サンウルブズも対人での練習になっただろうし、お互いのニーズが合った(合同練習だった)と思います」

「両者にとって身になる時間だった」とサンウルブズのマーク・ハメット ヘッドコーチ。
写真はFBリアン・フィルヨーン(撮影/松本かおり)

 120分ほどの練習時間、より気持ちを露わにしたのはジャパン側だったか。スクラムでカチッとまとまり、接点でしつこく、よくコミュニケーションがとれていた。
 サンウルブズの先頭に立つHO堀江翔太主将が言った。
「(日本代表は)アタック、デイフェンスの切り替えがはやかったですね」
 若いチームの挑む姿勢と、成長の可能性を感じたようだった。そして、次戦のフォース戦に向けて「勝つことにどん欲にならないと」と話し、連勝への気持ちを口にした。
 ジャパンの主将を務めるSH内田啓介は、この日の手応えを「ハイレベルなチームとやれてよかった。香港がサンウルブズより強いとは思えないですし。ディフェンスに収穫があった」と話し、週末の試合への強い思いを示した。
「日本の代表として戦うのだから、相手がどこであろうとしっかり戦って勝ちたい」

 サンウルブズが次戦で戦うフォースは、昨週まで9試合戦って1勝8敗。オーストラリアカンファレンスの5チーム中最下位に低迷している(オーストラリア/ニュージーランドグループの10チーム中でも最下位)。トライ数もスーパーラグビー参加18チーム中最少(11トライ/サンウルブズは8戦で20トライ)。しかし、ハメット ヘッドコーチは「FWでリズムを作ってくる。ラックまわりのピック&ゴーも強いし、外のスペースを攻めるバリエーションもある」と警戒し、「自信だけでは勝利は得られない」と丁寧な準備を重ねるつもりだ。
 日本代表の中竹ヘッドコーチ代行は次戦の香港戦のメンバー編成に触れ、「アウェー(の試合)は別物なので」。韓国戦での大勝スタートにも、若手メンバーに切り替えるつもりはないと話した。

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