ジャガーズ戦へ向け再結束するサンウルブズ(撮影:見明亨徳)
国際リーグのスーパーラグビーに今季から初参戦する日本のサンウルブズは、4月23日、東京・秩父宮ラグビー場でジャガーズ(アルゼンチン)との第9節をおこなう。
「ツアーは充実していました。楽しめました。ポジティブな収穫もありました。ああいう試合もありましたが、そこから、次への教訓を得たらいい」
こう語るのは、マーク・ハメット ヘッドコーチ(HC)である。チームは17日にシンガポール、南アフリカで合計4試合をおこなった長期遠征から帰国。全敗に終わり、ゲームのなかった第2節を挟んで開幕7連敗中としている。
特に指揮官が「ああいう試合」と振り返るのは、現地時間で15日におこなわれた第8節だ。ブルームフォンテインのフリーステイト・スタジアムで、序盤から立て続けに失点。チーターズに17−92で屈した。複数選手が体調を崩したうえ、酸素の薄い高地でのプレーに難儀したようだ。
それでも努めて、前向きに話す。
「南アフリカでは体調を崩すことがある。それに苦しめられたことも事実です。私も日本に来たばかりの時は、食べ物が合わず、お腹を壊した。それと同じようなものです。遠征前は、南アフリカへ行ったことのある選手が6〜7名だった。ただ今回のことを通して、チームの大半が経験者になりました」
19日、練習を再開した。公開された午後のセッションでは、密集戦でのサポートへの入り方やタックルの際の間合いの詰め方など、チーム内で共有すべき基本事項を確認。次戦に向けて攻撃のバリエーションも増やすようで、田邉淳アシスタントコーチがパスの出し手と受け手が常に適切な距離感を保てるよう指導していた。
サンウルブズは、初顔合わせが2月初旬という東洋の新参者だ。田邉コーチは選手に「遠征で何が勉強できたかと言えば、このチームは100パーセントの力を出さないと勝てないということ。80でも90でもだめ」と改めて伝えたようだ。攻撃を引っ張るCTB立川理道は「(チーターズ戦では)最初にあれだけパンパンと点数を取られて…。リーダー陣がチームをひとつにまとめられなかったのは問題」と反省していた。
その「ひとつに…」の意味合いについては、HO堀江翔太主将がこう説明していた。
「点数を取りたいと焦り過ぎて、一発を狙い過ぎてしまった。最初に一発で取られ続けて点数が開いたことも、その理由だと思います。ハル(立川)には、その辺をコントロールしてくれたら。もう少し我慢してアタックできたら、我慢さえできれば、いい方向へ転ぶ」
ジャガーズは強力なタックルを繰り出すが、HO堀江は「継続さえできればチャンスは生まれる」ときっぱり。苦しい遠征を振り返りながら、こう前を向いていた。
「全然、結果は出ていなくて、しんどいこと続きですけど、ネガティブに考えていたらそちらへ転んでいって、試合をするのも嫌になってしまう。いつ道が開けるのかはわからないですけど、シンプルに頑張ってやっていく。観ている人に何かが伝わればいい」
(文:向 風見也)