ゴールへ向かって走るサンウルブズのSH矢富勇毅(C)JSRA photo by H.Nagaoka
シンガポール・ナショナルスタジアムでまたも接戦を演じた日本のサンウルブズだが、スーパラグビー初勝利には届かなかった。26日、優勝3回の戦績を誇る南アフリカのブルズと対戦し、27-30で惜敗。それでも、この日がデビューとなったSH矢富勇毅がラストプレーでトライを挙げ、7点差以内の敗戦によるボーナスポイントを手にした。
気温30度近くの“ホーム”シンガポールでは2週間前にチーターズと戦い、31-32と善戦していた。サンウルブズはこの日、2人がイエローカードをもらう苦しい展開になったものの、厳しい試合環境のなか足が止まっていく相手に対して最後まで食らいつき、チャレンジャースピリッツを見せた。
前半1分過ぎ、サンウルブズのFBリアン・フィルヨーンがゴール前に蹴ったボールをブルズがうまく処理できず、ルーズボールを拾ったフィルヨーンがFLアンドリュー・ドゥルタロにつないで先制した。
しかし前半、サンウルブズはコミュニケーションが悪く、オブストラクションやラインアウト失敗が続いた。
19分には相手に攻め込まれ、反則でNO8トーマス・レオナルディが10分間の退出。数的不利となり、25分、ブルズにラインアウトからのドライビングモールで逆転トライを許してしまった。
それでも、若い布陣で臨んだブルズも連係ミスが多く、キッカーも不調で、10-16の僅差で前半を折り返した。
新参チームを相手に取りこぼしはできないブルズが後半早々にもラインアウトからトライを挙げたが、サンウルブズはその後、PG成功で10点差に詰める。
そして56分(後半16分)、自陣22メートルライン付近から左サイドを攻め、HO堀江翔太のノールックパスから、WTB山田章仁、SH茂野海人、SOトゥシ・ピシ、そして再び山田とつなぎ、サンウルブズの背番号11は40メートル以上走り切り、最後は相手FBウォリック・ヘラントの強烈なタックルを受けながらもトライを決めた。SOピシのコンバージョンも成功で20-23、3点差とした。
59分にはFL細田佳也のタックルからPGチャンスを得たが、FBフィルヨーンのロングショットは右ポストに当たり、同点ならず。
流れを引き戻したいサンウルブズは64分、ゴールへ突進した相手PRにFLドゥルタロが絡んでグラウンディングさせないファインプレー。しかし、直後のスクラムからブルズに攻められ、WTBジャンバ・ウレンゴがゴールラインに迫り、TMO(ビデオ判定)でトライが認められた。
10点差とされたサンウルブズは、67分に途中出場のNO8エドワード・カークがイエローカードをもらい、再び14人での戦いを強いられる。それでも、サンウルブズは力を振り絞り、食らいついて金星をめざした。
80分が経過。最後に敵陣でPKをもらったサンウルブズは、ボーナスポイント獲得のためにショットという選択肢もあったが、トライを狙いに行き、ラインアウトからのサインプレーが決まってSH矢富がギャップをすり抜け、きっちりフィニッシュして挑戦者の意地を見せた。
開幕から4連敗(勝点2)となったサンウルブズだが、勝利への執念は相変わらず強い。次週は南アフリカに乗り込み、3年ぶりにスーパーラグビーに復帰したばかりのキングズと対戦する。