タフだ。体も心も。そうでなければ、こんなに長くプレーできない。
「日本代表でも長い遠征はありましたから、自分としては特別だとは思っていません」
きょう(3月24日)から始まる、シンガポール、南アフリカへのツアーを前に37歳の大野均は言った。帰国するのは4月16日にチーターズと敵地(ブルームフォンテイン)で戦った後。それまでに、ブルズ(3月26日/シンガポール)、キングズ(4月3日/ポートエリザベス)、ストーマーズ(4月9日/ケープタウン)と戦う3週間の旅だ。
個人的に足を踏み入れたことのないラグビー大国に向かう。しかし、その前に勝利を手にして、誰もがハードな地と言う場所に立ちたい。
「まずはシンガポールでのブルズ戦に集中です」
簡単ではないけれど、一戦必勝の気持ちで次戦に臨む。
開幕から3連敗のサンウルブズ。初戦は秩父宮で戦い、1週あいてシンガポールでのチーターズ戦、秩父宮でのレベルズ戦と続いた。ホーム、休養、そして昨季の上位チームとの対戦がない序盤戦。開幕からのスケジュールは比較的恵まれていたと言っていいだろう。
「2週間前のシンガポールでの試合(チーターズ戦/31-32)は、湿気、ムシ暑さとタフでしたが対応はできています。水分や電解質を摂る準備もある。一度、あそこで戦っているアドバンテージは大きいでしょう」
大きな時差のある南半球へ行くのは初めても、ワールドカップのような過密日程とは違い、1週間間隔で試合がおなわれるスーパーラグビー。だから体をメンテナンスする時間もあるし、休養もとれば問題ないとサラッと話す。国内シーズンから休む間もなく世界的コンペティションに突入しても、「ジャパンだと国内シーズンが終わり、1か月ほど休んで集まり、スタートでした。だから、最初はベース作りから始めなければいけなかった。でもいまはそれが必要ありません。長いシーズンが続いているというか、早くシーズンがやってきた、という感じですかね」と意に介さない。
そうはいっても覚悟の出発だ。はやく勝利を手にしたい気持ちは強いけれど簡単な相手ではないのは分かっているし、アウェーのスタジアムが優しくないことも知っている。
「これまでのチームはどこも強かったし、これからも同じでしょう。まずはブルズ。モールも強いし、FWとして、そこは止めたいですね。南アフリカのスタジアムの厳しさも理解しているつもりです。僕らがトライしても誰も喜ばないでしょう。ジョージアやルーマニアもそうでしたが、それ以上なはず」
望むところだ。そんな完全なアウェーの中で勝てたらどんなに痛快か。その快感はワールドカップで経験済みだ。
また、世界の多くの人を驚かす勝利を。そんな思いを胸に、南へ飛んだ。