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サンウルブズ初勝利か? 松島不在のレベルズ連勝か? 3.19秩父宮展望

2016.03.19
サンウルブズと対戦するレベルズのトニー・マガーン ヘッドコーチ(撮影:松本かおり)
 19日、東京・秩父宮ラグビー場で世界最高クラスの国際リーグ戦、スーパーラグビーの今季第4節の試合がおこなわれる。対戦カードはサンウルブズ対レベルズ。今年度、日本から初参戦するサンウルブズは歴史的な1勝目を、オーストラリアから参加のレベルズは2連勝を目指す。
 サンウルブズは試合のなかった第2節を挟んで開幕2連敗中も、12日の第3節ではチーターズに31-32と肉薄(シンガポール・ナショナルスタジアム)。守っている時に一瞬の組織の乱れを突かれてはいるが、HOの堀江翔太主将が「強みは戦術を皆が理解しているところ」と話す通り、攻防の組織が機能。「軸(戦術略の大枠への理解)がしっかりしているから、細かい食い違いについてちゃんと話せる」と堀江主将は続ける。
 司令塔となるサモア代表のSOトゥシ・ピシ、チーム最年長の37歳でLOの大野均は、今度ぶつかるレベルズのFL、ショーン・マクマーン主将に「彼ら2人がチームをリードしている」と警戒されている。
 マーク・ハメット ヘッドコーチ(HC)は、こう展望する。
「前節は、パスの受け手が皆、9番(SH)の方を向いてしまっていて、攻撃に幅広さが出なかった。あとは上達しているセットプレーはもっと高められる。高めれば、いい形で自分たちのボールを獲得すると、いいアタックができる。まず、セットプレーでボールを確保する」
 かたやここまで2勝1敗のレベルズもまた、開幕から連携が取れている。かつてこのクラブに所属していたサンウルブズの堀江主将も「ディフェンスの時もバラバラにならず、面(組織)でやってくる」と舌を巻くなか、チームを率いるトニー・マガーンHCも「組織化されているところがいろいろな面で出てきている」と胸を張る。マクマーン、日本のキヤノンでもプレーするNO8のアダム・トムソンら地上戦で力を発揮するFW第3列がキーマンとなるか。地面の上の相手ボールに絡むジャッカルという技が得意だ。サンウルブズの大野は「こちらはランナーが倒れる前にサポートへ行く。速さで上回る」とジャッカルへの対策をイメージする。
 接点の脇から空間をえぐるSHニック・スターゼイカーも、文句なしの主軸である。リザーブにCTBを補充したい意向などで日本代表のWTB/CTBである松島幸太朗をベンチ入りメンバーから外した指揮官は、こんなふうに勝利を誓った。
「ハイペースな試合になること、サンウルブズが展開をしたいであろうことは予想されますが、こちらはそれに乗らない」
 プレーの起点となるスクラムでは、重さを活かすレベルズを前にサンウルブズがどれだけ低さとまとまりで対抗できるか。右PRに今季初先発の浅原拓真を従えるHOの堀江は、「バズ(浅原の愛称)が入ることで、どれくらいできるのか。レベルズに対してこう組もう…という形はあるけど、上手くいくか行かないかはグラウンドに立ってみないとわからない。組みながら修正していけたら」と話した。一方、ラインアウトでは、身長196センチのトムソンらを飛ばすも単調さが目立つレベルズを前に、サンウルブズは「ボールデリバリー(の乱れ)など、細かい部分を突きたい」とPRの稲垣啓太は明かす。
 レベルズのマクマーンも「(日本人選手の特徴については)世間話のレベルでもしている。それも何らかの形で活きるかもしれない」と、松島やトムソンといった日本経験者との対話から、打倒サンウルブズのヒントを吸収している。
 ち密さを貴しとする者がぶつかる一戦。軍配はどちらに挙がるか。
(文:向 風見也)
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