チーターズ戦で3トライを挙げる大活躍だったサンウルブズのWTB山田章仁(撮影:長岡洋幸)
WTB山田章仁のハットトリックで勢いに乗り、最大18点リードしていたサンウルブズだが、スーパーラグビー初勝利はならなかった。初参戦の今シーズン、チャレンジ2戦目は12日にシンガポールのナショナルスタジアムでおこなわれ、南アフリカのチーターズ相手に善戦するも、31-32で惜敗した。
「後半も前半の戦いを継続してやっていこうと言ったのだが……。後半は入りがよくなくて、はやく修正できればよかったけど、できなかった。スクラムは人が変わって、組み方が変わった。(チーターズは)シンプルに強かった」(サンウルブズ主将、HO堀江翔太)
サンウルブズは前半3分、グラウンド中央のスクラムからバックス展開で攻め上がり、さらに速いテンポで右へ回し、WTB山田章仁がディフェンダー2人を振り切って先制した。
その後、チーターズにPG2本を決められたものの、13分には自陣でもらったPKから、SOトゥシ・ピシが判断良くスペースができていた右前方にキックパスを出し、FBリアン・フィルヨーンがキャッチ、サポートしたCTB立川理道からWTB山田に渡り、サンウルブズの背番号14は軽快に弾んでインゴール右隅に飛び込んだ。
23分、サンウルブズはロストボールからカウンターを許し、キックをうまく使われチーターズにトライを与えたが、勢いは止まらなかった。34分にはSOピシがディフェンス裏にキックで転がし、CTB田村優がすばやく反応、インサイドにいた山田につなぎ、日本が誇る快足WTBはそのままゴールへ走って3本目のトライを挙げた。
38分にはフリーキックからチーム一体となってつなぎ、キャプテンのHO堀江がフィニッシュ。28-13で前半を終えた。
ハットトリックを決めた山田は、のちにこう振り返っている。
「連続攻撃の最後に、ゴールラインの向こうにボールを置けてよかった。2つめのトライは、チーム全体でコミュニケーションをとっていたので全員がわかっていたし、反応できた」
サンウルブズは後半早々にもPGで加点し、31-13。リードは18点に広がった。
しかし、ディフェンスを最大の弱点とするチーターズだが、伝統的に、取られたら取り返す攻撃型のチームであり、ここから巻き返す。44分、53分(後半4分、13分)とカウンターから連続トライでたちまち4点差。
流れを変えたかったサンウルブズだが、その後、PGとラインアウトで失敗が続き、70分にはモールで故意に崩したと反則を取られ、NO8エドワード・カークが10分間の退出。サンウルブズは14人になってしまった。
その直後、チーターズがラインアウトからモールで押し込み、逆転トライを挙げる。これが決勝点となり、サンウルブズは目前だった初勝利を逃した。
試合後、サンウルブズのマーク・ハメット ヘッドコーチは次のようにコメントした。
「相手はベンチにFWを6人おいて、後半はそこを使ってゲインしてきた。前半はセットピースをはじめ、うまくいった。スクラムは相手ボールも押せた。選手の成長を感じられた。4トライも満足だし、いい形のトライだった。ディフェンスにいくつか問題は出たが、ゴール前はよく守った。新しい歴史を作る大きなチャンスなのだが……」
サンウルブズは次節(3月19日)、東京・秩父宮ラグビー場で、日本代表のWTB/CTB松島幸太朗が所属するオーストラリアのレベルズと対戦する。