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サンウルブズ、どんな感じですか? 堀江翔太主将、バイウィーク練習リポート

2016.03.05
サンウルブズをけん引する堀江翔太(撮影:松本かおり)
 世界最高クラスのリーグであるスーパーラグビーへ今季から参戦した日本のサンウルブズは、歴史的な初勝利に向けて戦術理解度の底上げを図っている。先頭に立つのは堀江翔太主将。昨秋のワールドカップイングランド大会では、日本代表の副将を務めた30歳のHOだ。
 2月27日、東京・秩父宮ラグビー場での開幕節。南アフリカのライオンズに13-26で敗れた。組織力を示してファンの感動を誘ったが、序盤のスクラムで押されて守備連携のかすかな乱れを失点につなげられた。攻めてもチャンスで接点から球を出しづらくなる場面もあり、接戦を白星に変えられなかった。
「反省はスクラムと、ディフェンスの内側(接点に近い位置)のコミュニケーション。アタックでは、ボールキープできるようにしたいですよね。(それができないため)ディフェンス回数が多くなってしまったので」
 3月1日から4日まであった都内での練習には、初戦の収穫と課題を反映させる。
 なかでも最たる課題は、「スクラム」でのまとまりか。チームはもともと相手より低い姿勢でまとまる組み方を志向していたが、ライオンズ戦では足場の悪い箇所で組んだことも影響して乱れが生じた。「少し、浮かされる部分もあった」。組み合った選手同士が「1、2、3」と声を掛け合う。「1」の際に腰を落とし、「2、3」の際は決められた方向へ足を運ぶ…。イングランド大会を戦った日本代表にとっての定番のセッションを、改めて採用した。
「押されようが、前に出られようが、常に低いままでいられるようにという練習ですね。どうやって低くなるかを考えた時、自然とそこにたどり着きました。『1』で下げようと言ったら、皆、理解できた」
 サンウルブズは第2節を、試合をおこなわないバイウィークとしている。週末に試合を伴わない練習期間とあって、3日、マーク・ハメット ヘッドコーチはある工夫を施したか。通常なら主力組と控え組が2チームに分かれておこなう実戦練習では、開幕節に出場したメンバーが両チームへ均等に加わるよう調整されていた。堀江もうなずく。
「いまはチーム全体が戦略・戦術をわかるよう、ごちゃまぜにしている感じだと思います。いつかは(レギュラー組の連携強化のために)チームを固定させなきゃいけない時は来る。でも、試合が休みの週は勉強(戦略術の理解)の時間も作れる。きょうはラック周りのディフェンスの組織を確認して、それをコンタクトも交えてやった感じ。初戦の反省、という意味もありますけど、もともと自分たちが持っているやつ(戦術)をやろう、と」
 次なる相手は、チーターズだ。ライオンズと同じ、南アフリカのチームである。同国代表LOで身長205センチのルード・デヤハーら実力者を擁するライバルに関し、堀江は「コンタクトが強いプラス、ボールを大きく動かしてくる。ディフェンスではジャッカル(球に絡みつくプレー)をしにくるチームでもあるので、そこは意識したいですね」と分析する。
 走者は敵のタックルにぶつかる瞬間、低い前傾姿勢で背筋を伸ばす。手に持っている球を、相手から遠ざけながら前進する…。チームで定めた基本技術を徹底し、ライオンズ戦の反省点にも挙がった「ボールキープ」を実現したい。攻撃時間を増やせば、精神面での負荷のかかる守備の時間を減らせる。それが守備時の集中力を助長するかもしれない。
「チーターズ戦に向けてどうするかは、今後、もっと詰めてゆくと思います。戦術・戦略を理解しているので、自分たちのやることは見えてますよね。まぁ、(開幕前から)いろいろと話をしましたしね。それでもライオンズ戦では、些細な(見識の)食い違いもあった。ただ、ベースの部分への理解はしっかりしていたから、何が食い違っていたのかも(わかりやすく)話ができた」
 大らかさと繊細さをにじませる船頭役は、こう言って手応えを明かした。12日、シンガポール・ナショナルスタジアムでチーターズとの第3節に挑む。
(文:向 風見也)
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