真のリーダーだった廣瀬俊朗。仲間や相手チームからも尊敬された（撮影：松本かおり）
日本代表前主将で、東芝ブレイブルーパスでも強いリーダーシップを発揮してきたWTB廣瀬俊朗（34歳）が、2015年度をもって現役引退することが明らかになった。24日、東芝が公式発表。3月1日に引退記者会見がおこなわれる。
大阪府出身の廣瀬は、北野高校、慶應義塾大学を経て2004年にブレイブルーパス入り。12年間在籍してSO、WTBとして活躍し、トップリーグ通算128試合に出場した。2007年から4シーズン、同チームで主将を務め、トップリーグ連覇を達成（2008、2009年度）。2008年度はマイクロソフトカップでMVPに選ばれている。
身長173センチ、体重82キロと小柄ながら日本代表としても活躍した廣瀬は、2007年4月の香港戦でテストマッチデビューして以来、28キャップを獲得。エディー・ジョーンズ前ヘッドコーチにジャパンのキャプテンを任され（2012年3月〜2014年3月）、2013年6月には秩父宮ラグビー場で強豪のウェールズ代表を破るという歴史的快挙を成し遂げた。昨年、世界中を驚かせたワールドカップでは試合出場こそならなかったものの、裏方に徹し、精神的支柱として日本代表を支え、ジョーンズ ヘッドコーチに「日本代表の根幹をつくったのは間違いなく彼だ」と称賛された。
トップリーグのキャプテン会議でもラグビー界発展のために尽力し、ラグビー選手会も発足させた廣瀬は、指導者としての新たな道が有力視されているが、今後については引退会見で本人の口から明らかになる。
廣瀬のほかには、17年間在籍したFB立川剛士（39歳）も勇退する。東芝がトップリーグ初優勝を遂げた2004年度にマイクロソフトカップMVPとベストフィフティーンに選ばれ、連覇した翌年度はリーグ戦MVP、5回目の優勝を遂げた2009年度はプレーオフトーナメントMVPになるなど、東芝のレジェンド的存在だった。元日本代表FBでもあり、17キャップを重ねている。
さらに、11年間在籍した元日本代表のCTB仙波智裕もジャージーを脱ぐ。仙波はセブンズ日本代表でも活躍し、東芝のバイスキャプテンを長く務めていた。
ほかには、8年間在籍してフォワードをまとめた元ニュージーランド代表のFLスティーブン・ベイツや、元南アフリカ代表のFBフランソワ・ステインなどもブレイブルーパスでの戦いを終えた。男子15人制日本代表のディレクター・オブ・ラグビーに就任した薫田真広総監督も退任となる。
東芝は同日、2016年度新加入選手も発表しており、大学選手権7連覇を遂げた帝京大のPR深村亮太とFLマルジーン・イラウア、東海大主将のFL藤田貴大、育成選手として日本代表に招集されたことがあるWTB石井魁（東海大）、筑波大主将のHO橋本大吾、天理大主将のFB東口剛士、明治大のプレーメーカーだったSO田村熙、そしてブレイブルーパスの練習生だったWTB谷浩二朗が新戦力となる。
＜2015年度 勇退選手＞
■FB： 立川 剛士（39歳／関東学院大 出身／17年間在籍）
■WTB： 廣瀬 俊朗（34歳／慶應義塾大 出身／12年間在籍）
■CTB： 仙波 智裕（33歳／同志社大 出身／11年間在籍）
■PR： 久保 知大（34歳／筑波大 出身／11年間在籍）
■FL： スティーブン・ベイツ（36歳／元ニュージーランド代表／8年間在籍）
■PR： 米谷 卓朗（25歳／中央大 出身／3年間在籍）
■WTB： エペリ・ナコリニバル（26歳／道都大 出身／3年間在籍）
■PR： 石澤 輝（24歳／法政大 出身／2年間在籍）
■HO： 崩 光瑠（24歳／東海大 出身／2年間在籍）
■FL： タネラウ・ラティマー（29歳／元ニュージーランド代表／2年間在籍）
■FB： フランソワ・ステイン（28歳／元南アフリカ代表／2年間在籍）
＜2016年度 新加入選手＞
■PR： 深村 亮太（22歳／帝京大 出身）
■HO： 橋本 大吾（22歳／筑波大 出身／元U20日本代表）
■FL： マルジーン・イラウア（22歳／帝京大 出身）
■FL： 藤田 貴大（22歳／東海大 出身／元高校日本代表）
■SO： 田村 熙（22歳／明治大 出身）
■WTB： 石井 魁（22歳／東海大 出身／元U20日本代表）
■WTB： 谷 浩二朗（23歳／筑波大 出身）
■FB： 東口 剛士（22歳／天理大 出身）