サンウルブズのチーム内競争を激しくする宇佐美和彦(撮影:松本かおり)
スーパーラグビーに日本から初参戦するサンウルブズは2月27日、東京・秩父宮ラグビー場でライオンズ(南アフリカ)との初戦に挑む。
移動日を含め14〜23日の沖縄合宿では、レギュラー組がほぼ確定していた様子だったか。もっとも控え組からの声も活発に出ており、主力組に入るCTB立川理道も「どこの位置(レギュラー格か控え格か)にいる選手が発言をしても、周りが『わかった』『次、気を付けよう』と反応できる」とクラブの雰囲気に満足している。
その控え組のFLに入っているのが、23歳の宇佐美和彦。ずっとLO一筋だった、身長197センチ、体重111キロの若き黒子である。慣れない位置にあって、「練習から必死に取り組む」と意気込んでいる。
サンウルブズが存続の危機に瀕していた昨夏。チームは選手を探し回っていたのに、プレーを希望していた宇佐美は契約できなかった。当時は日本代表の長期合宿中。国内所属先のキヤノンとのコミュニケーションがうまくゆかず、「もっと人に相談しておけば…。僕のミスです」と悔やむほかなかった。
昨秋のワールドカップイングランド大会ではバックアップメンバーに回るも、エディー・ジョーンズ前ヘッドコーチに「ハードワークを続ければ2019年(ワールドカップ日本大会)はプレーできる」と期待された逸材である。12月に発表されたサンウルブズのスコッドに名前がなかったことは、多くのファンを驚かせたものだ。
結局、トレーニングスコッド入り。今月10日に合流し、トップリーグ選抜との壮行試合(2月13日/愛知・豊田スタジアム/○52-24)でも途中出場を果たした。
「(試合の)メンバーに入れるよう、ひたむきにやるだけです」
高さと低さの兼備。これが宇佐美の真骨頂だ。国際舞台での空中戦に対抗しうるサイズを誇りながら、守備に回れば低いタックルを繰り返すことができる。キヤノンの永友洋司監督には、3季前の入団時から「タックルの質と量」と期待されていた。
20歳以下日本代表時代は、当時のスタッフに「これという役割を与えれば、最後までやり通すことができる」と言われた。37歳のサンウルブズLO、大野均も、国内在籍クラブの東芝で同じような評価を受けている。昨季のTLで新人賞に輝いた東芝の小瀧尚弘など、国内で評価の高い20代前半の日本人LOの多くが、サンウルブズ入りを果たせないでいる。そんななか宇佐美は、マーク・ハメット ヘッドコーチにどこまで魅力をアピールできるだろうか。
(文:向風見也)