ラグビーリパブリック

「タイヨウ」と読むサンウルブズの安藤泰洋。「当たり前を、当たり前に」

2016.02.22
サンウルブズ入りしたトヨタ自動車の安藤泰洋(ヘッドキャップをかぶった選手)
(撮影:長岡洋幸)
 世界最高峰のスーパーラグビーに日本から初参戦するサンウルブズでは、追加招集選手が相次いでいる。その1人でトヨタ自動車所属のFL安藤泰洋は、身長181センチ、体重96キロの28歳だ。一線級にあっては大柄ではないが、粘り強い足腰と読みの鋭さを長所とする。相手のサポートが薄い接点へ、果敢に絡みつく。得点感覚にも優れ、今季は国内最高峰トップリーグでリーグ戦最多の6トライをマークしている。
 帯同したのは、沖縄合宿が本格始動する前の2月14日。3日に動き出した急増チームへの飛び入り参加とあって、「まだまだ認識合わせのようなことをしている感覚です」と本人は話す。しかし、持ち味なら発揮している。
 接点の激しい実戦形式の練習で、相手役のランナーに絡みつく。サポート役のブローを浴びせられても、簡単に離れない。涼しげな表情で笑う。
「(コーチ陣からの要望は)特にありません。ただ、よくコミュニケーションを取ってくれます。気を遣ってくれているのだと思いますけど」
 13日は愛知・豊田スタジアムでおこなわれたチームの壮行試合へ、対するトップリーグ選抜の一員として出場していた。サンウルブズが52-24で快勝したこのゲームの翌日、追加招集が発表された。
 もっとも実は、その前からピックアップが決まっていた。チーム関係者が1月に来日していたマーク・ハメット ヘッドコーチと連携を図り、故障者などが出た場合などの代理選手をリストアップしていた。トップリーグ終盤戦でのパフォーマンスから、FL安藤に白羽の矢が立った。
 FL安藤は秋田工業高を経て入学した関東学院大では、2009年度の主将を任された。トヨタ自動車では過去6シーズン、プレー。年代別を含め日本代表の選出経験はゼロだが、トップリーグで多くの大物外国人FWと対戦してきた。過去、チームメイトにはニュージーランド代表67キャップのFLジェローム・カイノがいた。
 スーパーラグビーで対面する外国人選手にも、自信を持ってぶつかれると本人は笑う。
「トライ王になっていますけど、アピールしたいのはそういうところじゃない。当たり前のことを当たり前にやるところ。それは、日本人の強みだと思うから、しっかりとやっていきたいです」
 海外出身選手も多いサンウルブズのFW第3列にあって、黒子としての矜持を覗かせるのだ。
 チームは27日、東京・秩父宮ラグビー場でライオンズとの初戦を迎える。現状、控え格にあたるFL安藤は、どこまで這い上がれるだろうか。
(文:向 風見也)
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