ラグビーリパブリック

新生サンウルブズの立川理道、厳しい船出でも「自分ができることを探す」

2016.02.04
サンウルブズの司令塔、立川理道(撮影:松本かおり)
 世界最高クラスのリーグであるスーパーラグビーへ、日本のサンウルブズが今季から参戦。2月3日、都内で始動した。
 5日までメディカルチェックを中心とした合宿をおこない、8日からは名古屋でキャンプ。13日はトップリーグ選抜との壮行試合(愛知・豊田スタジアム)に挑み、以後は27日の開幕節(対ライオンズ戦/東京・秩父宮ラグビー場)に向けて、沖縄などで練習を重ねる。
 初日は34名中26名が宿泊地に集合した。主将就任が求められるHO堀江翔太ら国内最高峰のトップリーグプレーオフ決勝(1月24日/秩父宮)に出場したパナソニックや東芝の選手らは、コンディション調整などのため合流せず。そんななか、テレビ用の絵作りとしてかマーク・ハメット ヘッドコーチ(HC)と選手6名がカメラの前で恵方巻にかぶりつき、完全非公開のもとおこなわれたキックオフミーティングでは指揮官の娘の写真を見るほかはグラウンド外でのチーム規律を確認した。
 ハメットHCの「一緒にいる時間が長いので、楽しいチームを作れるかが肝。グラウンドを離れたら、選手を知ろうと心掛ける。趣味が何か、奥様やガールフレンドがどんな人か、など」という哲学が現れたが、ここでの戦術提示はなかった。オープニングゲームを4週間後に控えて突貫工事ぶりを露わにしたが、こういう時ほど賢者の知恵は映える。SO/CTB立川理道は「自分を知ってもらうのも大事で、スタッフなど向こうのことを知るのも大事。そういうところから始まるのかな」と話した。
「日本代表ほど厳しい決まりごとはないにせよ、緩み過ぎずにやっていくことが大切。新しいチームなので、そこ(規律)を守れずにズルズルいくと試合にも影響する。個人的にはそう思っています」
 昨秋のワールドカップイングランド大会では、4戦中3勝を挙げた日本代表にあって全試合に先発。ラン、タックル、奈良・天理市で磨いたパスで存在感を示した。大柄な選手の少なかった天理大時代は、主将を務めた2012年1月8日は、大学選手権決勝に同部史上初めて参戦。いまも連覇を続ける帝京大に12-15と肉薄し、その3か月後からジャパンの一員となった。格上との対戦が続くであろうスーパーラグビーに際しても、「勝つために何をしなきゃいけないかは、準備」と意気込む。
「準備の中身はコーチ陣やチームによって違います。ただ、1人ひとりの試合に向けての意識は大事で、それを日本代表で学ばせてもらった。できることを、探してやっていきたい」
 今度のチームではキャリア組としてクラブ文化の醸成も期待される26歳は、ミーティング後、何度も「自分ができることを探す」と発したのだった。
「そこ(チームづくり)は僕が言うことではなく、コーチ陣が考えること。だからといって、自分から何もしないというわけではなくて。本当にこのチームがよくなるために、自分のできることは何か。しっかりと探していきたいと思います。ストラクチャーがどうなるかはわからないですが、パスであったり、チームに対しての献身的なプレーなど、やることをしっかりとやっていきたい」
 ミーティング前に食した恵方巻については、「出かける前に家族で食べたので、2本目だったんですけど」と苦笑。普段は穏やかな気質で知られるが、芝の上では厳しい顔つきとなる。2014年に短期留学したブランビーズではスーパーラグビーデビューを果たせなかった。「そこでお世話になった方も多い。成長した姿を見せたい」。サンウルブズがブランビーズとぶつかるのは、5月28日の第14節(キャンベラ)である。
(文:向 風見也)
Exit mobile version