ゴールめざし駆ける宗像サニックスのWTB屋宜ベンジャミンレイ(撮影:湯浅芳昭)
勝者にとっては待ちに待った日だった。
1月30日に向け、1年前から指折り数えて準備してきた宗像サニックス。そんな心境だったから最後に笑えた。福岡・レベルファイブスタジアムでおこなわれたNTTドコモとのトップリーグ入替戦を19-15と制し、2016-2017シーズンでのトップリーグ復帰を決めた(2季ぶり)。
奪ったトライは1つだけだった。つまり勝者はディフェンスで勝利を呼んだ。セットプレーから崩される以前の姿も消え、下部リーグながら地力を積み上げてきた日々をうかがわせた。
先制点は前半23分に奪った、その唯一のトライ。ドコモ陣10メートルライン付近のラインアウトからピッチ中央を攻め、ラックから出たボールをSH濱里耕平が左に持ち出してミスマッチを走る。濱里からのパスを受けたWTB屋宜ベンジャミン レイが左中間インゴールにボールを置いた。
その5分後には、連続攻撃からSOパエア ミフィポセチ→CTB川端正樹の仕掛けにトライを許し同点に追いつかれたが、セットプレーとディフェンスが安定している青いジャージーは慌てなかった。前半41分にPGで勝ち越すと、後半18分にもPGで加点(13-7)。その3分後に3点を刻まれ差を詰められても、後半26分、34分とふたたびPGを重ねて19-10。常に優位にゲームを進めた。いずれも勢いのあるアタックで前に出たから、防御側の反則を誘ったものだった。試合終了間際に1トライを許したものの、勝利は動かなかった。
敗れたNTTドコモのFL佐藤大朗主将は「一丸となってやって来たことを出そうとしましたが、前へ出るディフェンスに苦しみ、アタックに差し込まれて自分たちのラグビーができなかった」と宗像サニックスに勢いがあったことを認めた。1年間思い続けた目標にたどりついたFL田村衛土主将は、「この日を待っていました。去年負けた日(降格した日)から、僕らは今日の試合に向けて走り出した。あちらにとっては、やりたくない試合だったはず」。そして「気持ちの差はあったと思います」と締め括った。