ねばり強いディフェンスを続けた九州電力だったが、勝利に一歩届かず
(撮影:湯浅芳昭)
3季ぶりのトップリーグ復帰をめざした九州電力キューデンヴォルテクスだが、コカ・コーラレッドスパークスを倒すことはできず、無念のノーサイドとなった。1月30日に福岡・レベルファイブスタジアムでおこなわれた九州勢同士の入替戦。80分間の息詰まる試合は14-14の同点で終わり、規定により、今季トップリーグ所属チームのコカ・コーラが残留となった。
昨年度の入替戦でも両チームは対戦し、そのとき大敗した悔しさを胸に九州電力は成長してきた。得点力が高い相手の分析もしっかりでき、前半は互角以上の戦いをする。
11分、コカ・コーラのCTBティム・べイトマンに突破され先制トライを許したが、九電は出足鋭いディフェンスを続け、簡単には相手を自由にさせず、CTB下釜優次やFL平田一真などがハードタックルでチームを活気づけた。
「コーラさんの過去の試合を分析したところ、非常にボールを横に動かせるチームだと感じていた。ハンドリングスキルの高いFWの選手を多く擁していて、(順位決定トーナメントの)ドコモ戦、リコー戦を見ても、うまくボールを外に運べるチームいう印象があった。だから、プレッシャーをかけるところ、またガマンをするところを、規律を守りながら、組織的にディフェンスをしていこうと」(九州電力・瓜生丈治監督)
守りで奮闘する一方、前半、九電はアタックでも優勢だった。しかし、ラインアウトは安定せず、ダイレクトタッチやノックオンなどミスもあり、効果的にフェイズを重ねることができず無得点のまま最初の40分を終えた。
後半の立ち上がりもラインアウトの失敗で流れを止めた九州電力だったが、コカ・コーラにもミスは多く、拮抗した状態は続いた。
そして49分(後半9分)、九電が同点に追いつく。スクラムからのアタックでキャプテンのCTB中?憲章が抜けてゴール中央に迫り、ラックから素早く左へ展開してWTB磯田泰成がトライ。難しい位置からのSO松下彰吾のコンバージョンも決まり、7-7となった。
55分にまたも赤いジャージーのCTBべイトマンが軽快なフットワークで防御網を切り裂き、コカ・コーラが7点リードを奪ったが、その数分後、九電のLO園中良寛が敵陣深くで相手キックをチャージしてインゴール中央にボールを押さえ、同点に。チャレンジャーは食らいついた。
だが、今季トップリーグで14位だったコカ・コーラは残留へ意地を見せた。71分にゴールラインを背負うもブレイクダウンで危機を脱出。残り1分を切り、九電は自陣深くで回して突破口を探したが、コカ・コーラが釘付けにし、14-14のままノーサイドとなった。
善戦およばず目標に届かなかった九州電力。瓜生監督は試合後の会見で、「トップリーグ昇格には到達できなかったが、本当に選手が結束し、この1年、成長してくれた。今日この試合は、選手の成長、チームの成長を、ゲームメンバー23人が体現してくれたと思う」と語った。
それでも、足りなかった1点。中?キャプテンは「選手みんな、全力を出し切ったと思う。ただ、コーラさんよりもスコアを上回れなかったということは、自分たちのなかで、日々の練習などで足りなかった部分があったと思う。その差が、出たと思う」と悔しさをにじませていた。
コカ・コーラのFL山下昂大キャプテンは、「アタッキングチームとして2トライしか取れなかったというのは課題。外側にボールを運びたかったが、九州電力の速いディフェンスになかなか外まで運べず、逆に真ん中でビッグタックルを食らうという展開になって、こういう結果になってしまった」と振り返った。
臼井章広監督も反省する。「フィジカルで優位性を持って戦うということを目標にしていたが、九州電力さんの激しい気迫あるプレーに、時間が経つにつれて押し込まれてしまった。しかし、トップリーグに残留できたことはポジティブにとらえて、まず、来季に向けてやるべきことをしっかりやって、来季こそはベスト8を狙えるチームを作っていきたい」