トップリーグ新人賞を受賞した東芝の小瀧尚弘(左)。右は昨季新人賞だった神戸製鋼の山下楽平
(撮影:高塩隆)
今季の日本最高峰ラグビートップリーグの新人賞には、東芝のLO小瀧尚弘が輝いた。「強みを見つけてもらって、それを前に出せた」と胸を張った。
いまや大学選手権7連覇中の帝京大出身で、身長194センチ、体重110キロの23歳。出場したリーグ戦、順位決定戦の全10ゲーム中、9試合で先発を果たした。
大学時代から日本代表入り。当時のエディー・ジョーンズ ヘッドコーチに「非常にコンタクトが好きな選手です」と称えられるなど、肉弾戦の強さには定評があった。東芝に加わるや、中居智昭FWコーチらにタックルのバリエーションに関して助言を受けた。
腰に重りをつけて懸垂をおこなうトレーニングではチームで1、2を争う記録を残すなど、上腕と背筋の力が強かった。ボールを持った選手をつかみ、締めあげるチョークタックルに活路を見出した。立ったランナーがボールを活かせないモールパイルアップの反則を何度も奪った。だからこそ、「強みを…」と言うのである。
「上半身の強さという強みを見つけてもらって、それが通用して…。これは僕だけの受賞ではなく。支えてくれたコーチや、フィールド外でもサポートしてくれた方のおかげでもあります」
同じポジションの先輩で、鹿児島実業高時代から親交のある37歳の大野均をいまも敬愛。「ブレイクダウン(肉弾戦)にどんどん頭を突っ込んで、ディフェンスもして…。それをずっと続けている。そういうプレーが僕には必要だと思います」。今後は南半球最高峰であるスーパーラグビーでのプレーや、日本代表での定着を目指す。「ボールを持った時のアタックの強さ、ラインアウト(空中戦)の時の反応、全部の(状況における)判断、メンタル」と、自ら挙げる課題はきりがない。
「まずは目の前のことをしっかりやって。いいプレーができるようになったら、日本代表の道も…」
(文:向 風見也)