堅守も勝因となったパナソニック ワイルドナイツ(撮影:松本かおり)
<ラグビートップリーグ プレーオフ準決勝>
パナソニック 42-10 神戸製鋼
(2016年1月16日/東京・秩父宮ラグビー場)
準決勝。相手を分析し合った強者同士が、戦略的な駆け引きを重ねた。
大外から順にせり上がるパナソニックの守備網に対し、その背後へのキックで侵略を図ったのが神戸製鋼。前半、蹴られた側が自陣でレフリングの解釈に難儀したこともあり、蹴った側が好機を得る。4分、敵陣ゴール前左でラインアウト。首尾よく捕球し、得意のモールを組みたい…。
が、パナソニックはNO8ホラニ龍コリニアシいわく「とりあえず、飛ぼう」。投入役のHO長崎健太郎がいつもは控えのため、「飛」んで球の精度を乱せると見たのだ。LO谷田部洸太郎、スティール。チャンスを逃したLO伊藤鐘史ゲーム主将は、「彼らが普段にない守りを…」と悔やむのだった。
こちらも準備万端だったパナソニックは17分、WTB北川智規副将が右端を大きく駆け、前方へパントを上げる。直後、相手が蹴り返した先でのラインアウトモールから反則を誘う。SOヘイデン・パーカー、ペナルティゴール成功。6-0。
後半5分の敵陣中盤左ラインアウトの折は、身長190センチのJP・ピーターセンが右端からキックパスを求める。173センチの相手WTB大橋由和の頭上で悠々とキャッチした。FB笹倉康誉のトライなどで19-0とした。
8分後に19-10と詰められるも、直後のキックオフでPR稲垣啓太がこぼれ球へ飛び込む。その3分後、再び点差を22-10と広げた。「スコアするところでスコア。戦術として上手くいった」とは、スクラムでも出色の押し込みを示したPR稲垣だ。要所での集中力が快勝を招いた。
(文:向 風見也)