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花園決勝。東海大仰星高の意志統一が桐蔭学園高を破る!

2016.01.11
高校ラグビーの頂上決戦。東海大仰星も桐蔭学園も精いっぱい戦った(撮影:毛受亮介)
<第95回全国高校ラグビー大会 決勝>
東海大仰星高(大阪第1・3年連続16回目) 37-31 桐蔭学園高(神奈川・2年ぶり14回目)
(2016年1月11日/大阪・花園ラグビー場)
 セイムページ。チーム間でのプレー選択の共有度合いを示す、ラグビー界の流行語である。東海大仰星高は、この言葉を真に理解していた。
 前半3分、接点ができるたびに右へ3人ずつ選手が並ぶ陣形を作り続ける。「全員がサポートして押し込もう」と、LO横井達郎が先制トライを挙げる。7-0。続く15分にも敵陣22メートル線付近左ラインアウトから右、右と攻め立て、一転、湯浅大智監督によれば「プレーしながら考える」FL眞野泰地主将が左へ移動し、パスを呼び込む。タックラーを蹴散らした。12-3。
 守っても、鋭く飛び出すシステムとグラウンドの横幅をまんべんなく敷き詰める所作を交互におこなう。後半は巧妙に相手を敵陣に追い込み、ミスを誘っては点差を広げた。突出した個性に頼らず、公式戦38連勝で頂点に立った。背景には、その都度セイムページを眺める所作があった。
 指揮官はこうだ。
「その時々で自分たちが持っているもの(戦術)を出すスピードが速いほうが、きょうは勝つと思っていた」
 一方、敗れた桐蔭学園高も考えた。
「仰星の守備は前に出てくる。(相手のタックルから)ずれて当たったりして、ゲインしたら縦(突破)を入れようとしていた」とSH齋藤直人主将。相手の守りを知ったうえで、自軍の強い走者を活かさんとした。
 ノーサイド直前に6点差と迫るなど、敵陣に入れば力業で得点できた。SH齋藤主将は「もっと蹴って(効率よく敵陣に入っても)よかったかもしれないですけど、それは結果論」と悔やむほかなかった。
(文:向 風見也)
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