ラグビーリパブリック

東海大、ジャイアントキリングへ虎視眈々 V6帝京大と大学選手権決勝

2016.01.07
PR平野翔平(写真中央)やFL藤田貴大を中心としたFWも強い東海大(撮影:松本かおり)
 東海大は1月10日、大学選手権の決勝戦に挑む(東京・秩父宮ラグビー場)。ファイナル進出は6季ぶり。6連覇中の帝京大を相手に、木村季由監督は「相手の嫌がることをどこまでできるか」と展望を語る。
 帝京大はラグビーの根幹を支える1対1や肉弾戦で強さを誇る。かたや東海大も、数年来S&Cと呼ばれる肉体強化と体調管理に注力。近道なしの強化方針を打ち出してきた。指揮官は「そこに、どこまで時間とエネルギーを使っているかに尽きる。追求していかないと」とプライドを覗かせる。
 今季は密集戦に強いFL藤田貴大主将やスクラムでの強さを誇るPR平野翔平を最上級生に据え、「慌てずにFWが圧力をかける、しっかりとディフェンスをする…。シーズン終盤、強みを出して主導権を握る方法を確立できた」と木村監督。帝京大とは春、夏に対外試合をして2連敗。「手応えも、まだまだだと感じている部分もある」とも語る。
「相手の強みを消す作業と、自分たちの強みを出す力を上げる。まず、ディフェンス。ロータックルで相手を1発で倒せなければ、どんどん前に出てこられる。相手のバランスを崩すディフェンスをしていかないと」
 6日の練習で防御時の接点への働きかけなどを確認したFL藤田主将は「ディフェンスで1回でも(守備網の)裏に出られたら厳しくなる」と警戒。逆に、「(いいタックルを決めて相手の球出しを)ゆっくりにさせれば…(攻守逆転の好機がある)」とも考える。FB野口竜司はこうだ。
「タックル、ブレイクダウン(肉弾戦)で受け身にならない。ターンオーバーからのアタックを狙いたい。うちにはいいFWがいるので、できるだけ前(敵陣の深い位置で)ゲームをしてあげることが大事。チームがばらばらになってはだめ。相手に穴があれば(最後尾から)それを伝えるコールをする。そうすればいいアタックができると思います」
 焦点のひとつはスクラムだ。強力パックの核をなすPR平野は「どっか崩さないと、相手は慌てない」と意気込む。
「まずはセットプレー(スクラムなどプレーの起点)からプレッシャーをかけたい。相手のしてくる仕掛けに動揺せず、(FWの)8人がしっかり固まっていきたい」
 最前列で目視されづらい駆け引きがおこるスクラムでは、当日のレフリーへどんな印象を与えるかが組み合う際の反則数などに直結する。今度のゲームを担当する麻生彰久氏とのやりとりについて、FL藤田主将は「最初に東海大の形をわかってもらえれば。僕がレフリーの方とうまくコミュニケーションを取っていきたい」と語った。
 6シーズン前の決勝戦で帝京大に13-14で敗れて以来(東京・国立競技場/2010年1月10日)、相手は優勝し続けている。他チームの知人から相手選手のスカウティング内容を託される藤田主将は「応援されているのを感じる」と、気を引き締める。
「モール、スクラムは計算内。認定トライでも何でも、点数は点数。狙っていきたいです」
 明大を28-19で下した準決勝(秩父宮/1月2日)では、左ひざ前十字靭帯の断裂から復帰して間もないNO8テビタ・タタフが躍動。後半14分から23分間の出場で2トライを挙げた。爆発力を秘めた秘密兵器の起用法は、今度も同様となるか。10日のファイナルは秩父宮で14時、キックオフ。
(文:向 風見也)
Exit mobile version