自陣から走った神奈川県スクール選抜のCTB小田原とフォローしてトライを挙げたFB小泉
(撮影:松本かおり)
中学生にとって最後の大会になる第21回全国ジュニア大会が12月29日、東大阪市花園ラグビー場で開幕した。第1ブロック、第2ブロックに8チームが参加。それぞれ都道府県のスクール、中学校の選抜チームで編成されている。
第1ブロックは昨年の覇者で、毎年優勝争いに顔を出す福岡県選抜が、神奈川県スクール選抜に逆転負けと波乱の初日だった。また、九州大会で優勝して臨んでいる長崎県選抜は、こちらも優勝候補の一角だった大阪府中学校選抜に競り勝った。
福岡県選抜は180センチ、110キロのPR秋枝健太をはじめ大型FWのサイド攻撃で防御をこじ開ける。一つひとつのプレーが正確で、素早く、外に展開しても脚力は魅力だった。風上の前半を12-5とリードして折り返すと、後半4分にはFWの末長武尊がトライを挙げて、17-5として順調かと思わせた。
しかし、神奈川県スクール選抜の井ノ口昌吾監督は、「1トライ差ぐらいで食らいついて行けば、最後にワンチャンスが来ると思っていた」と話すように、攻守に粘りを発揮する。8分には途中出場のFW山口和明がトライを挙げ12-17と迫る。
一昨年は1回戦で12-17、昨年は準決勝で5-17と福岡県選抜に負けている。そのため、「優勝するためには福岡を倒さないと。東日本の意地を見せたい」(井ノ口監督)と、ディフェンスに焦点を絞り、しつこい防御を習得してきた。
その成果は残り10分に発揮された。とどめを刺そうとゴール前で猛攻の福岡県選抜の攻撃を紙一重で止め続けた。しかも、15分には決まれば8点差となった22メートルライン付近、正面のPGが外れる。
そして終了間際だった。自陣ゴール前から神奈川CTB小田原廉主将が一気に加速する。最後はゴール手前でパスをもらったFB小泉怜史が中央にトライを挙げ、WTB津田貫汰がゴールを決めてノーサイド。19-17の劇的勝利だった。
福岡県選抜からの初勝利にスタッフ、選手、観客席まで涙が止まらない。「小さいチーム。才能なら昨年の方が上でした。でも10月からの練習を積んでいくうちにチームワークが出てきた。これは大きかったですね」と井ノ口監督。
<第1ブロック 1回戦結果>
・長崎県選抜 17-10 大阪府中学校選抜
・兵庫県スクール選抜 22-12 京都府中学校選抜
・東京都中学校選抜 43-3 奈良県中学校選抜
・神奈川県スクール選抜 19-17 福岡県選抜
<第2ブロック 1回戦結果>
・熊本県選抜 17-17 東京都スクール選抜 (抽選の末、熊本県が準決勝進出)
・群馬県スクール選抜 26-19 岐阜県スクール選抜
・茨城県中学校選抜 33-5 北海道中学校選抜
・愛知県中学校選抜 24-12 千葉県スクール選抜
好タックルを連発して、時折外勝負で抜いた長崎県選抜(撮影:松本かおり)