ラグビーリパブリック

千両役者・五郎丸もトライ! ショー連発のキヤノン戦をヤマハはどう戦ったか

2015.12.27
快走するヤマハ発動機のWTB伊東力。前半に逆転トライを挙げた(撮影:松本かおり)
<ラグビートップリーグ グループB 第7節>
キヤノン 19-33 ヤマハ発動機
(2015年12月26日/東京・秩父宮ラグビー場)
 公式で「22843人」のファンを前に、多彩なショーが続いた。
 
 現役南アフリカ代表でキヤノンのFBウィリー・ルルーは、初っ端の空中戦でこの日の注目株であるヤマハのFB五郎丸歩に競り勝つ。そして4分、中盤左中間から魅せた。
 綿毛のステップを踏むや、左へふくらむ。刹那、ゆるやかにギアを入れ直進する。2人並ぶタックラーの間を優しくえぐり、WTB原田季郎の先制トライを導く。5-0。置き去りにされたSO大田尾竜彦は、その「独特」な凄味を認めるほかない。
「抜かれた! ではなく、追いかけているうちにあれ? と…」
 20分頃はキヤノンの元ニュージーランド代表NO8アダム・トムソンが、自陣10メートル線付近右でのヤマハのラインアウトで球を弾く。
「いいタイミングでジャンプ、リフト(支え)ができた」
 この調子で序盤を10-12とされたヤマハだが、結局、勝ち切る。
 潮の変り目は28分頃。キヤノンが敵陣ゴール前のラインアウトを得続けるも、ヤマハがモールを組ませず、守備網を敷く。無失点で切り抜けた。球を失った側のSO橋野皓介は自軍の「精度」を嘆き、勝った清宮克幸監督は「あそこが勝負の綾」。
 ヤマハは17-12と逆転して迎えた後半4分、敵陣ゴール前右でモールを組む。反則を誘ったうえで攻めを重ね、最後はFB五郎丸が左中間を破る。22-12。スクラムも優勢だったヤマハは中盤以降、波に乗った。
「特にこの選手、というものはない。それが僕たちの戦い方」と指揮官。戦略術の共有度合いで、矜持を示す。
(文:向 風見也)
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