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この冬最初の全国王者!? 早稲田大学GW、2年連続で学生クラブの頂点に。

2015.12.25
力強く前に出た早大GWのNO8中山周平。(撮影/窪田亮)

 この冬のラグビー界にて、全国レベルで日本一となった初めてのチームか。
 カテゴリーは学生クラブ。12月20日に熊谷ラグビー場で行われた東西学生クラブ対抗試合で早稲田大学GWラグビークラブ(関東学生クラブ選手権優勝)が関西学院大学上ヶ原ラグビークラブ(関西学生クラブリーグ優勝)に26-10で勝った。2年連続の学生クラブ日本一だ。

 勝者は、安定感のあるディフェンスで危なげない試合運びを見せた。ラインアウトが不安定で好機を逃す序盤も、何度でも敵陣に攻め入る地力があった。
 先制点は前半29分。早大GWは相手反則で得たPKを左タッチに蹴り出し、ラインアウトから攻める。モールで上ヶ原ゴールに迫ると、数フェーズを重ねてCTB斎藤伶央がインゴールに駆け込んだ。その6分後にはBKがスクラムから仕掛け、大きくゲイン。そこにFWが殺到して仕留めた。コンバージョンも決まり、12-0で前半を終えた。

 関西学院大上ヶ原も好チームだった。SO内藤太一の柔らかいプレーで攻め、全員でしつこく守る。早大GWにボールを持たれる時間が長かったものの、スコアが拮抗したのは芯の通った抵抗を続けたからだ。後半14分にはCTB是枝強志のPGで3点を返した。
 しかし、早大GWの安定感は最後まで続いた。試合を決めたのは後半19分、左サイドのラインアウトからの攻撃だったか。このシーン、準備されたプレーが見事に決まった。HO加藤慶輔が投げ入れたボールは、そのスローインを受けたプレーヤーから加藤に瞬時に戻された。背番号2はライン際を疾走してインゴールに入る。FB松永寛之のコンバージョンも決まり、19-3とした。

 ラスト5分で互いに1トライずつを決めて最終スコアは26-10。グレーとホワイト(Grey & White/ クラブ名の由来)は、昨年に続いて歓喜の瞬間を迎えた。多くのOBたちも見守る中で、1年間の集大成を示した。
 後半39分に入れ替えで出場、感激のときをピッチで迎えることができたキャプテンの岡田理生は、「ディフェンスがよかったので安心して見ていられました。1年間やってきたことなので、そこを出せてよかった」と言った。
 決して楽な道のりではなかった。前年度の優勝チームだ。周囲が、いつも自分たちをターゲットにしているプレッシャーも感じながら過ごしたと言う。
「去年は春、夏と負け続けたチームでした。そういうこともあって、周囲の(意識の)スキを突いて勝ち上がっていけたところもあった。しかし、今年はディフェンディングチャンピオンということもあり、どこのチームもこちらを倒そうと向かってきた。そういうプレッシャーを乗り越えられて本当に嬉しいですね」

 関東学生クラブ選手権の序盤、慶大BYBに負けたこともあった。しかし積み上げてきたものを信じ、週1度の体育会チーム(Dチーム)との合同練習を通じて磨き、試合を重ねることで右肩上がりに強化を進めることができた。
 岡田主将は、膝の靱帯を痛めて長い間戦列から離脱。シーズン終盤に練習に復帰できたと思ったら、今度は手首を骨折し、ふたたびピッチから離れることになった。しかし、それでも最後の最後には歓喜の輪の中に立っていられた。全員の結束のお陰で、関西学院大上ヶ原とともに、学生クラブの中でもっとも長いシーズンを過ごせたからだ。
 優勝チームのキャプテンになったというだけでなく、そういう意味でもシアワセなリーダーだった。

感激の表彰式。右が早大GWの岡田理生主将。(撮影/窪田亮)

敗れたものの、チームをよくリードした関西学院大上ヶ原SO内藤太一。
(撮影/窪田亮)
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