ラグビーリパブリック

サンウルブス第3の「1」はヤマハスタイルの申し子 山本幸輝

2015.12.25
コカ・コーラ戦でのヤマハ発動機PR山本幸輝(写真中央/撮影:Hiroaki. UENO)
 南半球最高峰のスーパーラグビーに2016年度から参加するサンウルブスは、12月21日にスコッド選手を発表。左PRには稲垣啓太(パナソニック)、三上正貴(東芝)と、9、10月のラグビーワールドカップイングランド大会出場組が並ぶ。
 しかし…。
「当然、そうなるだろうとは思っていたので」
 もう1人、代表キャップ(国際間の真剣勝負への出場数)を持たない日本人選手も加わった。
「その選手たちをライバルにして、レベルアップできる。ありがたい環境ですね。彼らにとって、ワールドカップ出場はアドバンテージ。出遅れた分を取り戻したい」
 山本幸輝。身長181センチ、体重116キロの25歳だ。2013年には、若手育成のため発足されたジュニア・ジャパンの一員としてパシフィック・ラグビーカップに参戦している。スーパーラグビーの予備軍らと激突し、「ラグビーの15分の1人としての仕事をもっとしなければ…」。課題を痛感しながら、世界で戦うことを夢見るようになった。
 名称が決まる前のサンウルブスへも、参加したいと思っていた。「代表メンバーが選ばれんだろう」と想像しつつも、「そこ(契約)を目指していたところはあった」。サンウルブス側からは今年8月頃にオファーが来たようだが、家族やヤマハ首脳陣らの承認を得て、すぐにサインをしたという。厳しい環境も、望むところだ。
「2019年(ワールドカップ日本大会)という大きなものもあるので。経験のある方ならいろいろなことを考えるかもしれませんが、自分はすぐに返事をした。話をもらった瞬間に『よし、来た!』と。こんなチャンスはめったにない」
 国内最高峰のトップリーグ(TL)では、新人時代からレギュラーとなった。昨季、2月28日の日本選手権決勝ではノーサイド直前、サントリーをスクラムで押し込んだ。15-3での逃げ切りで、クラブ史上初の全国タイトルをもたらしている。
 今回の挑戦を受け、清宮克幸監督からは「行く以上は、成長して来い」と言われたという。未知なる挑戦に向け、恩師の長谷川慎コーチとの練習にも熱がこもる。
「外国人との対戦を想定して、もっと身体を大きくしろ…。海外では『この』組み方は通用しないぞ…。そんなふうにアドバイスしていただきました。大きな選手と組む場合は、小手先だけでは通用しませんので。イチから1番(左PRのスクラム)を教わっています」
 今年8月にはチームのFWだけでフランスへスクラムの武者修行合宿に出ている。「力自慢もいれば、器用にいろいろとやって来る人もいる。そのなかでも、自分たちのスクラムを組めたら押せた」と笑う。
「敵が大きかろうが、小さかろうが、自分たちの『これだ』というスクラムを確立する。サンウルブスがどんな組み方をしようとするのかはまだわかりませんが、話し合っていいスクラムを…。まず、スクラムなら山本が1番だ、と言われるようになりたい。南アフリカの力で来る相手に、どれだけできるか…」
 12月26日には東京・秩父宮ラグビー場でキヤノンとのTLリーグ戦・第7節に先発。挑戦発表後の初陣で、存在感を見せつけたい。
(文:向 風見也)
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