初優勝の秋田市立将軍野中(撮影:松本かおり)
12月23日、聖地・秩父宮にて伝統の東日本中学校大会決勝戦が行われ、秋田市立将軍野中が國學院久我山中を21-17と破り、初優勝を飾った。
前半は國學院久我山中がWTB杉本大雅の脚力を活かした2トライで10-7とリードして折り返す。ただ、久我山中は個の強引なプレーが多かったのと、将軍野中の粘り強いディフェンスもあって、後半のもつれる展開に。
後半3分、先にチャンスをつかんだのは将軍野中。FWがゴール前でサイド攻撃を繰り返し、最後は佐藤航太が逆転トライ(14-10)を奪う。久我山中も7分にはPR江下遼がタイミングよく内側のスペースに走り込んでトライ(17-14)と譲らない。将軍野中は11分にゴール前スクラムから再び佐藤航太がトライを奪い21-17。狭いスペースを瞬時の判断で走り抜けた好トライだった。
終盤は久我山中の猛反撃を将軍野中が止め続けた。時計が進むにつれて、自陣ゴール前を背負う。久我山中のWTB杉本が2度ゴールライン寸前に迫ったが、カバーディフェンスでタッチに押し出す。さらに将軍野中はタッチキックをチャージされ、攻め返されたが、最後まで前に出続ける防御は安定していた。自陣のゴールラインを背負うと、どうしても相手の動きを見てしまうものだが、躊躇なく前に出続けた防御が勝因だった。
「(最後の防御は)すごかった。よく頑張りました。練習の賜物です。全員が相手から目を切らない。内から押さえ続ける。やってきたことを決勝戦で出してくれました」と将軍野中の佐藤大監督。
また、3年連続今大会に出場してきたSO土肥恵太主将は、「ディフェンス中心の練習は痛くて、きつい部分もあるので最初は嫌がる人も多かった。でも、ここで勝ってみて分かったのは、あの練習は必要なことでした」と振り返った。
久我山中はスケールの大きなチームだったが、戦い方で少し後悔が残る。
「むきになったのか、強引に行ってしまう。終盤勝負になるなと思っていましたが、そこで最後に取れなかった。SOの近場周辺でやりすぎたかな」と久我山中の土屋謙太郎監督。
決勝戦前に行われた3位決定戦(本郷中−茗溪学園中)も白熱した。茗溪学園はFB植村陽彦のカウンターからの独走トライ2本などでリードを守ってきたが、終盤に本郷が猛攻を仕掛ける。鍛えてきたFWがゴール前で力を発揮する。14分にトライを奪い4点差に迫ると、終了間際にはラインアウトからBKも参加する全員モールでインゴールに迫り決勝トライ。22-21と1点差で3位を死守した。
「高校の伝統であるFWで勝負しようと。2本差以内なら逆転できると思っていました。こういう試合も経験して、いろんな面で成長してくれました」と本郷中の井口辰也監督。
(文:福田達)
前半14分、モールを起点にして左隅にトライを挙げた将軍野中・土肥恵太主将(撮影:松本かおり)
3位決定戦で最後に威力を発揮した本郷中のモール(撮影:松本かおり)