(撮影/松本かおり)
この日着た白いジャージーが、泥にまみれている選手も少なくなかった。
選手たちがこの1年口にしてきたのは「ローファストタックル」。低く、はやいタックルで相手に圧力をかけ続ける気持ちが、決戦で結実した。関東大学対抗戦Bで優勝、この日の入替戦に挑んだ成蹊大学が、立教大学(関東大学対抗戦A 8位)に45-8(前半:21-3)と快勝した。来季は2013年度シーズン以来、3季ぶりに対抗戦Aで戦う。
大きく開いた点差ほど、両者の力に差はなかった。むしろ、アタックのクォリティーは立大の方が上だったか。濃紺のジャージーは上位グループでの勝利を目指して日々を過ごしてきただけに、強度も、テンポも対抗戦A仕様に仕上がっていた。防御ラインを突き抜けて何度も前に出た。
しかし成蹊大は必死にしがみつき、走り切らせない。粘り強く守る。そんな時間を過ごしているうちに、やがて流れは防御側に…という展開になるのがラグビーだ。立大は次第にミスをくり返した。
成蹊大は集中力高く戦い抜いた。それがいちばんの勝因だろう。
前半4分、右ラインアウトから左に展開し、大芝優泰、可西晴樹のCTBで崩したチャンスにWTB宇都宮至が走り切って先制トライ。この宇都宮は14-3とリードした後半終了間際にもトライを挙げた。その際は、キックチャージ−からのターンオーバーに反応良く仕掛け、防御を切り裂いた。
「練習時から、攻守の切り替え時にみんなで反応しようと確認し合ってきたので」
大事な時間帯に2トライと最上級生の責任を果たしたフィニッシャーは、「みんな気持ちが入っていた」とピッチ上の体感を伝えた。
自分たちの強味に仕上げたモールと、低いブレイクダウン、そして攻守の切り替え。シーズン最後の試合で、積み上げてきたことをすべて出せたからこその快勝だった。
なお、この試合の前におこなわれた日本体育大学(対抗戦A 7位)と明治学院大学(対抗戦A 2位)は23-15(前半:12-8)。明学大も攻守に粘り強く戦ったが、常にリードを許す展開となり、一歩及ばなかった。