ラグビーリパブリック

秩父宮でラグビー初体験。ストリートラグビー盛り上がる。

2015.12.09
握手で始まり、握手で終わるのがストリートラグビー流
 誰もが気軽に体験できるラグビーとして注目を集めるストリートラグビー。以前ご紹介した通り、12月8日に秩父宮ラグビー場で開催された。当日は気温10度を下回る平日の夜にもかかわらず、300人を超える参加者とその応援でにぎわった。会場にはオーストラリア・イングランドの関係者による出店などもあり、さながらお祭りのような雰囲気が広がる。また、在日ニュージーランド大使のマーク=シンクレア氏や在日オーストリア・ニュージーランド商工会議所会頭のメラニー=ブロック氏らも来場しただけではなく、14の海外チームが参加するなど国際色も豊かなイベントになった。
 当日は秩父宮正面入り口前に人工芝のコートが2面設置。18時頃から子どもたちを中心に体験会が行われたあと、オープニングセレモニーへ。日本代表のテーマ曲である「桜舞う男たち」を演奏する「き乃はち」さんの演奏や、本イベント主催のCheer! NIPPONを代表して川淵三郎氏からの挨拶などの後、ラグビー女子日本代表の加藤選手、鈴木選手、田中選手と明大中野高校のラグビー部によるデモンストレーションマッチが行われた。デモンストレーション中には、監修の大西一平さんからアンストラクチャーな状況でのプレーや空間認知能力などのトレーニングとしての有効性についても紹介。女子代表選手たちの華麗なパス回しに感嘆の声が上がった。
 そしていよいよ参加エントリー者によるゲームが本格的にスタート。前後半1分ずつ、計2分のゲームだが、目まぐるしく攻守が入れ替わる中で、参加者たちは思いっきり体を動かした。実はこの日のエントリーチームには「3人のうち、1人は未経験者であること」という条件が設けられており、実際、参加者の約半数がラグビー未経験。3人とも未経験者、というチームも多かった。普段自分がやっているスポーツと比べてラグビーのおもしろさなどを語り合うこともしばしば。中には思わず前に投げてしまったり、トライ直前でボールをどう置くか戸惑ってしまったりという参加者もいたが、初めての楕円球体験に笑顔が絶えない。勝敗を付けることよりも、体験すること・楽しむことに重きを置いた効果もあるだろう。
 ラグビーの経験はまったくないが、たまたまイベントのことを知り会社の同僚を誘って参加したという男性は、「流行っているので、と軽い気持ちで参加したが、ボールを持って走るだけなのに、こんなに楽しいとは!」と興奮した様子で感想を語ってくれた。また、自分たちの関係者以外の試合も熱心に観戦する参加者も多く、一つひとつのプレーに惜しみない声援が送られた。観戦のお供には、出店のビールやラムチョップも好評だった様子。
 ゲームが終わると、日本スポーツ振興センター顧問として来場していた鈴木寛氏による挨拶などの後、シンガーソングライターの渡瀬あつこさんが日本代表応援ソングの「楕円桜」を披露。「2019年に向けて、ハカやヨーロッパの合唱に負けない日本の応援スタイルを作りたい」と語る渡瀬さんと有志による先導で、参加者全員が参加しての楕円桜の合唱も行われた。
 多くの来場者によって楽しまれた本イベントだが、実は2019年のワールドカップ開催12都市の関係者が来場しており、それぞれの地域での普及活動へのヒントを探していた。こうしたイベントなども通じて、まずは一人でも多くの人にラグビーボールに触れる経験をしてもらうことが、日本代表選手たちが口にする「ラグビーを文化にしていく」ということ、また2019年大会の成功にもつながっていくだろう。年内のイベントはこれで最後だが、今後も各地で展開していくことを予定している。2019年にはイベントではなくても、全国でストリートラグビーが行われているかもしれない。
(写真・文/野口弘一朗)

合唱のあとは、記念撮影も行われた
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