ゴールへ向かって走る神戸製鋼のPR山下裕史(撮影:松本かおり)
<ラグビートップリーグ グループB 第2節>
NEC 12-46 神戸製鋼
(2015年11月22日/千葉・柏の葉公園総合競技場)
アリスター・クッツェー新ヘッドコーチのもと試運転期間中の神戸製鋼が、前半32分、目指すスタイルの片りんを覗かせた。
敵陣中盤右で相手の密集から漏れた球を得るや、攻撃陣形を作る。SO山中亮平からパスをもらったCTB南橋直哉が、外側へ弧を描くよう快走。CTB今村雄太が左中間を突き破ると、今度は左から右へと人が並ぶ。SHアンドリュー・エリスが右斜め前方へキックパスを描き、WTBアンダーソン フレイザーがとどめを刺す。13-7とリードを広げた。
「仕留め切るというテーマを体現できるようにしてきた。チームにとって自信になるスコアです」とは、FL橋本大輝主将の弁だ。
攻めの根幹には、地味な下働きがあった。ボール確保の前にFW陣が接点で暴れていて、その約3分前には、さらに味わい深い一撃があった。
グラウンド中盤。LOアンドリース・ベッカーとNO8谷口到が、ダブルタックルで相手走者を押し戻す。NECがなんとか球をさばくも、次のランナーをFL橋本主将が余裕を持って捕まえる。ターンオーバー。
「タックルをした後にすぐ膝を地につけず、我々を押し返す。その意識が強かった」
敗れたPR瀧澤直主将が具体的に振り返る一方、神戸製鋼は後半もその意志を貫く。むしろ規律の遵守と陣地確保を意識し、快勝劇を演じたのだ。PR山下裕史は笑った。
「そこ(接点)で激しいプレーをしたら周りもゆっくりセットできる(位置につける)し、勢いも出る。守備も、攻撃になっている」
(文:向 風見也)