ジャパンラグビートップリーグは開幕節2日目となった14日、愛知・パロマ瑞穂ラグビー場などでグループA・Bの計6試合がおこなわれ、豊田自動織機、ヤマハ発動機、NTTドコモ、近鉄、NTTコミュニケーションズ、東芝が白星発進となった。
日本代表としてワールドカップで活躍した五郎丸歩は、所属するヤマハ発動機の勝利に貢献し、トップリーグで2人目となるリーグ戦通算1000得点を達成した。
<グループA>
■リコーブラックラムズ 12-39 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(東京・秩父宮)
3点を追うリコーは前半19分、日本代表でもあるFLマイケル・ブロードハーストの突進でゴール前右に迫り、SOコリン・ボークからのキックパスをWTB長谷川元氣が確保してトライを挙げた。
しかし28分過ぎ、NTTコムは自陣でFL栗原大介が相手ディフェンダーを引き付けてWTB鶴田諒のビッグゲインをアシストし、敵陣22メートル内に入ったあとリサイクルも速く、ボールを受けたHO三浦嶺がタッチライン沿いを走り抜けて逆転した。7-13。
流れを引き寄せたNTTコムは46分(後半6分)、ハーフウェイ付近のラインアウト攻撃から慶大出身のルーキーCTB石橋拓也が中央を突破し、敵陣22メートルライン手前で日本代表のパワフルNO8アマナキ・レレィマフィにつなぎ、トライ。さらに50分、リコーの選手が相手のショートパントをキャッチしようとして味方同士で衝突し、こぼれ球を拾ったNTTコムのCTB石橋がゴールへ走り切りリードを広げた。
しぶといディフェンスをしていたリコーだが、58分にもNTTコムがラインアウトから得点する。近大出身の新人SH光井勇人がギャップを突いて抜け出し、デビュー戦トライを挙げた。
リコーは64分、新加入のサモア代表FBティム・ナナイウィリアムズが好走してゴールに迫り、LOカウヘンガ桜エモシがファイブポインターとなる。しかし、77分にNTTコムのWTB小泉将がダメ押しトライを決め、やがてノーサイドとなった。
■東芝ブレイブルーパス 47-3 クボタスピアーズ(東京・秩父宮)
東芝は前半7分、新加入のWTBニコラス・クラスカが力強い走りで自陣から突破し、FLリーチ マイケルがサポートして先制トライ。日本代表主将でもあるリーチはワールドカップの疲れを感じさせず、52分(後半12分)にベンチへ下がるまで体を張り続けた。ショットでスコアが動き、13-3で迎えた31分、東芝はハイパントから相手にプレッシャーをかけ、CTBリチャード・カフイがボールを奪い返してゴールに持ち込み、20-3で前半を終えた。
6季ぶりの優勝をめざす東芝は後半も手を緩めず、43分、ワイドにボールを回してまたもWTBクラスカが好走し、ゴール前でWTB大島脩平につないで追加点を挙げた。59分には日本代表の精神的支柱となったベテランのWTB廣瀬俊朗が足でボールをコントロールしてインゴールで押さえ、チームにボーナスポイントをもたらした。完全にペースを握った東芝はその後、CTBカフイとWTBクラスカがトライを重ね、今季開幕戦は大勝となった。
クボタはゴールに迫るシーンもあったが、相手の堅守に加え自分たちのミスもあり、トライを奪えなかった。
■近鉄ライナーズ 25-12 Honda HEAT(大阪・花園)
4季ぶりにトップリーグに復帰したホンダだったが、開幕戦を白星で飾ることはできなかった。
近鉄は前半11分、敵陣22メートル内でテンポよく攻め、新加入の元南アフリカ代表NO8ピエール・スピースが先制トライ。PGで3点を追加し、序盤をリードした。
対するホンダは20分、ゴールラインに迫り、右へ展開してセブンズ日本代表のWTBレメキ ロマノ ラヴァが右隅に飛び込んでスコアボードを動かした。コンバージョン成功で8-7となる。
しかしホンダは23分に反則の繰り返しで1人が10分間の退出となり、直後、相手のモール攻撃に押されて故意に崩してしまい、ペナルティトライをとられてしまった。ホンダは規律が悪く、前半に3人がイエローカードをもらい劣勢に。
数的有利となった近鉄は29分にFLタウファ統悦もトライを挙げ、20-7で折り返した。
主導権を握った近鉄は54分にもゴール近くまで攻め上がり、SH金哲元がスルリと抜けてチーム4トライ目、ボーナスポイントを獲得した。
ホンダは63分にパワープレーでNO8トマシ・ソンゲタが5点を返したが、反撃はここまで。近鉄がホームでの開幕戦を勝利で飾った。
<グループB>
■NTTドコモレッドハリケーンズ 23-19 コカ・コーラレッドスパークス(大阪・花園)
ドコモがPGで先制。コカ・コーラは前半15分、敵陣深くでのラインアウトをスチールされたもののディフェンスからボールを奪い返し、鋭いステップでゴールに迫ったCTBティム・ベイトマンがSH香月武につないでトライ。しかし4分後、ドコモはNO8イオンギ譲が敵陣22メートル内の左タッチライン沿いをパワフルに突進し、サポートしたWTB茂野洸気がインゴールに押さえ、逆転。
強風のなか、互いにボールコントロールに苦しむ。35分、コカ・コーラが敵陣でラインアウトを乱し、ボールを確保したドコモが展開、CTBパエア ミフィポセチが抜け出し、パスを受けたWTB渡辺義己が右サイドを振り切ってトライを決めた。
前半終了前にコカ・コーラはFB吉澤太一が突破してゴール右隅をめざしたが、ドコモのCTBパエアがタックルでタッチライン外に押し出し、トライを許さなかった。
13-7で折り返したドコモは後半早々、敵陣22メートル内でのPKから速攻を仕掛け、CTBパエアがトライを決めてリードを広げる。
追うコカ・コーラは53分、SO山田久寿がキックをチャージし、LO筬島直人がインゴールで押さえた。その後、相手にPGを決められ9点差とされたコカ・コーラだったが、71分、粘り強くつないで敵陣深くに入り、ルーズボールをSO山田が確保してインゴールに飛び込み、4点差とした。が、逆転劇は起きず。
ドコモに新加入した注目の南アフリカ代表2人、LOエベン・エツベスとSOハンドレ・ポラードは51分(後半11分)からそろって出場。エツベスは高いラインアウトジャンプとダイナミックな突進、ポラードは正確なキックと積極的な走りで会場を沸かせた。
■豊田自動織機シャトルズ 24-17 NECグリーンロケッツ(愛知・パロマ瑞穂)
先制したのはNEC。前半8分、ラインアウトからモールで押し込みトライを奪った。しかし26分、豊田自動織機が同じようにセットプレーでやり返す。同点に追いついたシャトルズはその3分後、ハーフウェイでPKをもらうと、NO8ライアン・カンコウスキーがタップから速攻を仕掛け、ロングパスをもらったCTBヴァカジョセフ ウィルソンが約50メートルを走り切り、勝ち越した。
しかしNECは32分、新加入の元オーストラリア代表NO8スコット・ヒギンボッサムが22メートルライン外から豪快に突進してゴールポストに迫り、展開してCTB釜池真道が同点につながるトライを決めた。前半終了前にNECはPGで3点を加え、14-17で折り返した。
追う豊田自動織機は後半早々、WTB松井謙斗がキックレシーブからのカウンターで大きくゲインして敵陣深くまで持ち込み、最後はFLバツベイ シオネがインゴールに突っ込んで逆転した。後半、豊田自動織機は相手に得点を許さず、69分にPGでリードを広げ、接戦をものにした。
■トヨタ自動車ヴェルブリッツ 11-18 ヤマハ発動機ジュビロ(愛知・パロマ瑞穂)
前半4分、ヤマハは敵陣深くでのラインアウト後にFLモセ・トゥイアリイがゴールへ持ち込んで先制。8分にはCTBシアレ・ピウタウが大きくゲインし、CTB宮澤正利、SH矢富勇毅とつながり追加点。直後のコンバージョンを決めたFB五郎丸歩は、サントリーにいたニコラス ライアン(現 三菱重工相模原)に続いて2人目のリーグ通算1000得点を達成した。五郎丸はその後、PG2本を決め、ランでも8676人の観衆を沸かせた。
前半の得点はPGによる3点のみだったトヨタ自動車だが、46分、ゴール前ラインアウトからモールで押し込み、8-18とした。トヨタ自動車は守りでも調子を上げ、新加入したFBロビー・ロビンソンの五郎丸への強烈なタックルもあった。57分にはPGを決め、11-18。
しかし、終盤はヤマハも堅守を発揮。73分、トヨタ自動車がラインアウトからモールで押しゴールラインを越えたが、グラウンディングは確認されなかった。その後もトヨタの攻撃は続いたが、ヤマハが必死に守り切り、緊迫したゲームは7点差のまま決着となった。