ニュージーランド代表、オールブラックスは強かった。史上初のラグビーワールドカップ連覇達成である。英国で6週間にわたって開催されてきた楕円球界の祭典。現地時間10月31日に聖地トゥイッケナムスタジアムで決勝がおこなわれ、ニュージーランド代表が34-17でオーストラリア代表を下し、2大会連続3回目の優勝を遂げた。
18点を追ったオーストラリアが後半に反撃し、63分にCTBテヴィタ・クリンドラニがトライを挙げて4点差となった。しかし約6分後、ニュージーランドのSOダン・カーターがドロップゴールを決めてリードを拡大。4年前の自国開催大会では金メダルを手にするも自身は無念の負傷離脱で悔しい思いをしていたカーターは、75分にはハーフウェイからPGを決め、グラウンドで歓喜の瞬間を迎えるとともに、この試合のマン・オブ・ザマッチに輝いた。
満員の8万125人が最高峰のラグビーに熱狂した。
序盤の20分間はニュージーランドがテリトリー73%、ボール支配も59%と優位に試合を進めた。堅守を誇る両チーム。キーポイントとみられてたブレイクダウンのファイトも激しかった。
PGでスコアは動き、9-3とリードしたニュージーランドは39分、ゴール前でCTBコンラッド・スミスからSHアーロン・スミスにシザース、そして主将のリッチー・マコウへとつながり、クイックパスをもらったWTBネヘ・ミルナースカッダーがこの試合最初のトライを決めた。
16-3で迎えた後半早々、ニュージーランドは交代で入ったばかりのCTBソニービル・ウィリアムズがオフロードでCTBマア・ノヌーにつなぎ、パワフルな黒衣の12番は鋭く切り込んで約40メートルの弾丸ラン、21-3と勝利を引き寄せる。
しかし52分(後半12分)、ニュージーランドのFBベン・スミスが危険なタックルでイエローカードを出され一時退出。流れを変えたいオーストラリアは直後、ラインアウトからモールで押し込み、トライ。キック成功で21-10となった。
その後、敵陣22メートル内に入るもブレイクダウンで自由を奪われ、なかなか得点できなかったオーストラリアだが、63分、SHウィル・ゲニアがディフェンス裏に放ったパントキックをSOバーナード・フォーリーが確保し、CTBクリンドラニにつないで連続トライとなった。コンバージョン成功で21-17、ワンプレーで逆転可能な4点差となる。
しかし69分過ぎ、ニュージーランドのカーターが敵陣10メートル中央からドロップゴールを決め、7点差。72分過ぎにはオーストラリアがスクラムで反則を犯し、カーターのショットにつながった。
そして78分、敵陣で攻めたオーストラリアだが、CTBカートリー・ビールからWTBドリュー・ミッチェルへのパスがつながらず、こぼれ球を拾ったニュージーランドのベン・スミスが前方にロングキック、仲間のFBボーデン・バレットがチェイスして競り勝ち、足でボールをコントロールして決定的なトライを挙げた。
「選手たちを本当に誇りに思う。ビッグウィークだった。大会を通して、彼らは静かにひたむきにチームを築き上げ、今日、仕事を成し遂げた。すばらしいことだ」と選手を称えたスティーヴ・ハンセン ヘッドコーチ。史上最強軍団と言われ、かなりのプレッシャーもかかっていたはずだが、見事な大会連覇だ。
「このチームは誰かひとりで成り立ってはいない。全員の意思疎通があり、最終的にそれが他チームとの違いだったと思う。これ以上はない有終の美だ」