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ラグビーワールドカップで史上初の準々決勝進出をめざした日本代表だが、その道は断たれた。
10月10日、英国・ニューカッスル(セントジェームズパーク)で、日本の命運を握っていた勇敢なサモアの男たちが、プールBで2位に立っていたスコットランドを苦しめたが、33-36で惜敗した。勝ったスコットランドは3勝1敗で勝点14に。日本は11日のアメリカ戦に勝ってボーナスポイントを獲得しても勝点は13にしかならず、同組2位が確定したスコットランドが準々決勝への最後の切符をつかんだ。
サモアは精いっぱい戦った。序盤、ジャパンラグビートップリーグのサントリーサンゴリアスに所属するSOトゥシ・ピシがサモアに勢いをもたらした。前半5分にPGで先制。すぐに追いつかれたが、サモアはキックオフプレーが好調で、10分過ぎ、ボールを確保して攻め上がり、SOピシがインゴール右隅にボールをねじ込んだ。
しかしリスタート直後、サモアは自陣深くでパスを乱し、スコットランドのWTBトミー・シーモアがボールを確保して同点につながるトライを決めた。10-10。
それでも、勝利で今大会を終えたいサモアは集中力が高かった。14分、ボールをキープすると、ゲインと丁寧なパス回しでゴールに迫り、HOマヌー・レイアタウアがファイブポインターとなった。
その後、スコットランドに3点を返されたサモアだったが、21分、突破とすばやいリサイクルで左サイドをこじ開け、CTBレイ・リーローがトライを挙げる。20-13。
接戦は続いた。スコットランドがPGを決めれば、サモアもショットで3点を追加。
激しい攻防のなか、スコットランドはFLライアン・ウィルソンが相手選手を蹴ったとしてイエローカードをもらったが、その数分後、ラインアウトモールで押し込み、コンバージョン成功で同点となる。
36分にサモアはプロップがインゴールに飛び込んだものの、その前に反則があり、トライは認められず。しかしアドバンテージがあってPGを決め、26-23として前半を折り返した。
しかし、負けたら敗退の可能性が出てくるスコットランドは、後半10分過ぎから2本連続でPGを決め、この試合初めてリードを奪った。26-29。
73分(後半33分)、スコットランドのプロップがパワフルに突進してゴールラインを越えたが、サモアのゲームキャプテンを務めたSHカーン・フォトゥアリイが執念でグラウンディングを許さない。
しかし直後のゴール前スクラムでスコットランドが優勢となり、主将のSHグレイグ・レイドローがトライを決めて勝利を引き寄せた。26-36。
それでもあきらめなかったサモア。77分過ぎ、ゴール前のPKから攻めて、HOモトゥ・マトゥウがトライ。ゴールキック成功で33-36、3点差となる。
残り数分、逆転をめざして自陣でボールを回したサモア。しかし、落球してしまう。そして、スコットランドは手堅くボールをキープし、フルタイムの笛。
死闘を制したのはスコットランドだった。
準々決勝進出の望みはなくなった日本代表だが、新たな歴史を作るべく、あすのアメリカ戦で今大会の3勝目をめざす。エディージャパンにとってのラストゲームだ。