ラグビーリパブリック

サモア代表戦直前、ジョーンズHCが硬軟織り交ぜメッセージを発信。

2015.10.03
決戦前日。練習を見守る日本代表のエディー・ジョーンズHC(右)とリー・ジョーンズDFコーチ
(撮影:早浪章弘)

 ラグビー日本代表は2日、ミルトンキーンズ・スタジアムmkで調整。翌日のワールドカップ(W杯)イングランド大会・予選プールB第3戦、サモア代表との激突に備え、試合会場での最終確認をおこなった。

「世界で最もパワフルなチームの1つと戦う…。4年前(現職就任時)にこのプロジェクト(W杯への挑戦)をスタートさせた時から、(日本代表の)フィジカル面での不利をどう覆すかを考えてきた。明日は、その成果を見せる絶好の機会です」

 セッションが終了すると、エディー・ジョーンズ ヘッドコーチ(HC)が宣言する。

 チームは9月19日、ブライトン・コミュニティスタジアムでのプールマッチ初戦で過去優勝2回の南アフリカ代表に勝利も、現在は1勝1敗で勝点は4。目標の準々決勝進出(各プール上位2チーム)のためには、残る2戦での勝利がほぼ必須となる。この日の練習ではリザーブのPR三上正貴が不在も、指揮官は「三上はここまでいいトレーニングをしています。明日も23人(出場登録メンバー)の一員としてプレーします」と言い切った。

 プレーの起点となるセットプレーでのまとまり、運動量を活かしたボール回し。この2つで、力自慢のサモア代表を倒す…。改めて、ジョーンズHCはそう宣言する。

「サモア代表は勢いを持ってプレーしてくる。その勢いを止めることが必要。スクラム(両チームのFWが組み合うセットプレーの1つ)では相手が力強いので、賢く組まなければいけない。特にアタックでは、質の高いクイックボールを出せるようにしたい。この2か月で、ジャパンのスクラムはさらに向上しています。明日は自信を持って組めると思います。相手は肉弾戦で来る。我々は動き回る。ノックアウトを狙うのではなく、ジャブでどんどんポイントを稼ぎたいです」
 
 9月28日の午前中、合宿地のウォリックでのこと。ボスはチームの集中力を高めるべく、選手を一喝したとされる。FLリーチ マイケル主将ら数名は「朝(のミーティングで)、集中しよう、と言われた」と口を揃え、FB五郎丸歩副将は同日午前の練習中に「BK陣だけ、(練習の)クオリティーが低い」と檄を飛ばされたという。もっとも、そのことに触れられたジョーンズHCは「何のことを話しているのかわかりません」と即答する。

「私はいつも選手と話をしています。ビデオテープでも、あるのでしょうか? 選手がそう言われたというなら、選手に聞いてみてください」

 ともに会見に出席していたPR畠山健介、CTBマレ・サウが苦笑するなか、会見は終了。もっともその前の質疑のなかでは、「最近の試合では、2000万人のファンがテレビ観戦をしたと聞きます。オーストラリアの人口にカンガルーの数を加えてもそれには届かない。選手もその責任をしっかりと感じているはずです」ともジョーンズHCは言う。きっと、できるだけの準備は施してきた。

(文:向 風見也)
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