ラグビーワールドカップのプールBで日本代表を下したスコットランド代表が、27日、アメリカ代表に苦しみながらも後半に地力を発揮し、39-16で勝利を収めた。7点ビハインドで前半を終え、番狂わせが起きるかと思われたが、ラスト40分間で5トライを挙げてボーナスポイントも獲得し、2勝0敗(勝点10)となってプールBのトップに立った。
英国・リーズのエランドロードでおこなわれたこの試合。スコットランドは、日本戦から中3日ということで先発9人を替えて臨んだが、序盤はミスが続いた。
PGを2本決めて6-3とリードしたものの、前半21分、アメリカがラインアウトからのアタックでゴールに迫り、FWがパワープレーでこの試合最初のトライを決めて逆転した。ゴールキック成功で6-10となる。
スコットランドは26分、FBスチュアート・ホッグがカウンターアタックで大きくゲインし、2対1の状況にしてトライチャンスと思われたが、WTBティム・ヴィサーへのパスがつながらず、好機を逸した。
一方、ラインアウトが不調で波に乗れなかったアメリカだが、ハードタックルを連発してスコットランドにプレッシャーをかけ続け、ムードを高めていった。前半最後のチームアタックではトライを取ることはできなかったが、PGで3点を追加し、6-13、大方の予想を覆し、アメリカのリードで折り返した。
しかし、スコットランドは慌てなかった。後半早々、点差を詰める。ラインアウトから着実に前進し、左へ細かくつないでWTBヴィサーがインゴールへ駆けた。アメリカの守りに厳しさがなくなり、47分にもスコットランドがトライを奪って逆転。
その後、アメリカがショット成功で18-16となったが、ベンチスタートだった主将のSHグレイグ・レイドローがフィールドに入り安定感が増したスコットランドは、54分、ゴール前ラインアウトからFWで確実にトライ。65分には、CTBマット・スコットが軽快なステップで防御網を切り裂き、チーム4トライ目でボーナスポイントを獲得した。
試合終了前にもSOダンカン・ウィアーがダメ押しトライを決め、2試合連続で最高勝点を得たスコットランドが、2大会ぶりのベスト8入りへ大きく前進した。
試合間隔が短いなかで2連勝したスコットランド代表のヴァーン・コッター ヘッドコーチは、「調子を上げて集中し直した選手たちを称賛しなければならない」とコメント。「肉体的に強靱な相手に前半は正確性を欠き、組み立ての難しい試合だったが、後半早めの得点で軌道修正でき、それを足場にして難しい試合に勝つことができた。後半で7点差をひっくり返せたということは、選手たちがそのための方法を見つけられているということ。それができたことで、選手にメンタルの強さがあることを確認できた」と、次の南アフリカ戦へ向けても手ごたえを感じていた。
一方、金星を逃したアメリカ代表のマイク・トルキン ヘッドコーチは、「前半はこちらに勢いがあってペナルティの判定も味方したが、最初の4つのラインアウトに失敗していいチャンスを逃してしまった」とこの試合を振り返り、「選手の多くはプロの厳しい戦いを毎週経験しているわけではない。彼らにとっては大きな挑戦で、われわれが乗り越えないといけないものでもある」と語った。
プールBは各チームとも2試合ずつ消化し、1位は唯一の全勝で勝点10としたスコットランド。3チームが1勝1敗となり、ボーナスポイント(4トライ以上で1点、7点差以内の敗戦で1点が与えられる)を重ねている南アフリカが勝点7、サモアと日本は勝点4で並び、得失点差でサモアがわずかに上回っている。アメリカは0勝2敗で勝点0のまま。
現在、獲得ボーナスポイントがなく勝点で不利な日本がこのグループを突破する(2位以上に入る)には、3勝が必要な状況になってきた。残るはサモア戦(10月3日)とアメリカ戦(10月11日)。他チームの今後の結果も気になるところだが、とにかく自分たちの戦いに集中して前進するのみだ。
<各チームの残り試合>
■スコットランド(勝点10):南アフリカ、サモア戦
■南アフリカ(勝点7):スコットランド、アメリカ戦
■サモア(勝点4):日本、スコットランド戦
■日本(勝点4):サモア、アメリカ戦
■アメリカ(勝点0):南アフリカ、日本戦
※ 勝点は、勝ち:4点、引き分け:2点、負け:0点
※ 1試合で4トライ以上獲得した場合、7点差以内で負けた場合は、それぞれボーナスポイント1点が加算される。