ラグビーリパブリック

「打倒スコットランド代表」の切り札、WTB福岡堅樹。「外」で取り切る!

2015.09.23
スコットランド戦の前日練習でリラックスした表情の福岡堅樹(撮影:早浪章弘)

 ラグビーワールドカップ(W杯)イングランド大会に臨む日本代表は、22日、翌日のゲームに向けた最終調整をおこなった。23日、同会場でスコットランド代表との予選プールB第2戦に臨む。

 19日にはブライトンで過去2回の優勝を経験した南アフリカ代表を34-32で下し、国内外からの注目を集めるなかでの一戦。今大会初先発となる1人が、WTB福岡堅樹だ。一昨年の11月9日、エジンバラはマレーフィールドでの同カードで2トライを挙げている。

 筑波大4年のWTB福岡は、エディー・ジョーンズ ヘッドコーチ(HC)に「チーターと勝負しても勝てる」と称賛される快足の持ち主だ。あの日のある手ごたえを胸に、再戦に臨む。

 前半28分ごろ。敵陣中盤まで攻め込んだジャパンが展開。左端のWTB福岡へパスが渡る。ボールはやや後ろへ逸れたが、受け手としては、「逆にそれがチャンスになった」。日本代表が球の軌道を見やったところで、スコットランド代表の守備網も様子を伺うべく動きを止めた。この時、タッチライン際に狭いながらもスペースが生まれる。

 WTB福岡はギアを入れ、大外へ駆ける。相手を一気に、振り切った。

 一般論として、タッチライン際での走りにはリスクが伴う。追っ手に捕まれば、そのままグラウンドの外へ出されて相手ボールで試合再開となりうるからだ。しかし、かねて「瞬間のスピードの部分では負けない」と語ってきたWTB福岡は、「外勝負」でスタンドを沸かせる。最後は落球で終わったものの、「一歩」の判断と加速に自信を抱いた。この後に奪った2トライ以上に、WTB福岡はこの瞬間を自信の根拠とする。

「相手が反応できない場所を探して、そこへ走り込むことも意識しています。相手の出足が1歩でも遅れれば、その1歩の差で振り切る自信がある」

 当時のゲームは17-42と敗れている。中盤までは競ったが、「最後の20分で試合を決められてしまった。トライを取った後のリアクションをちゃんとしたい」と反省している。当日の会場の芝はぬかるみがあるとされる。「持ってきたスパイクの種類はいくつかあるので、ポイント(底のいぼ)の長いものを使ったりして、対応したい」と物心両面での準備は万端か。

――大外で走り切る。狙いますか。

「それは、常に、イメージはしています。外で取り切るチャンスがあれば、狙っていきたいと思います」

(文:向 風見也)
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