ラグビースクール、中学校、女子セブンズの3部門で日本一を競い合う「太陽生命カップ2015 全国中学生大会」が茨城県水戸市のケーズデンキスタジアム、ツインフィールドにて行われた。最終日は各部門の決勝戦・順位決定戦が行われ、伊丹ラグビースクール、天理中、九州北部選抜がそれぞれ優勝した。
ラグビースクール決勝戦に残ったのは伊丹RS(兵庫)と筑紫丘RS(福岡)。伊丹は6年連続出場中で、4度目の決勝戦になる。昨年の決勝戦でも横浜RSに17-37と敗れている。今回は1回戦でその雪辱を果たすなど、優勝に賭ける思いはどこよりも強かった。
「1回戦、準決勝ともに、淡泊にトライを許した場面がありました。それでは優勝はできない。筑紫丘のFWにやられる。1本の重みを感じないと、試合では上手くいかない」と話すのは北薗浩良校長。
試合は予想通り、筑紫丘のFWが鍛えてきたコンタクトフィットネスを活かして、前に出て先制トライを挙げる。伊丹も多くの引き出しのあるBKのムーヴでトライを返し、前半を12-12で折り返す。後半もお互いがトライを重ねて、迎えた後半18分。伊丹は相手反則で得た40メートル強のPG機を得ると、SO宝田悠介が見事に決めた。
「宝田君が決めてくれた3点を絶対守るつもりでディフェンスしました」とCTB朝見直生主将。今年は昨年よりもサイズ的に小さくなったが、練習で培ってきたタックルに勝敗の行方を賭けた。
勝ち越した直後、伊丹に試練。筑紫丘FWが渾身の突進を繰り返し、ゴール目前に迫る。FWが低く突き刺さるようなタックルでボールがこぼれる。22-19でノーサイド。歓喜の時が訪れた。
「こういう目標になる大会ができてから、勝てそうで勝てない。練習の成果を出せたのが一番うれしい」と北薗校長。伊丹は猛練習で知られる。だが、多くのカテゴリーで活躍する先輩たちは、「原点」と話すように、多くのことを得て、卒業していく。そして、2015年度、伊丹に初めて全国制覇の肩書きを持つ子どもたちが誕生した。
中学の部も、終盤にしびれるような展開が待っていた。天理中(奈良)が3点をリードして迎えたラストワンプレー。自陣から大きく抜け出し國學院久我山中(東京)は、ゴール前でタックルを受ける直前にゴロパントを蹴る。懸命に戻った天理中はタックルに入ったが、これがレイトタックルの反則。ゴール前でペナルティーを与え、久我山中の連続攻撃を受けて、さらには外に2対1を作られて万事休すかと思われたが、素早いプレッシャーに久我山中はノックオン。何とか天理中が17-14で逃げ切り、2年ぶり3度目の優勝を手にした。
「最後まであきらめないチーム。練習熱心で、スタミナもある。よく走ったと思います」と天理中の渡辺徹監督。全国制覇した時だけ歌える天理ラグビーの歌は格別だった。
女子セブンズは、九州北部選抜が大阪府選抜を21-0と一方的に破った。福岡、長崎、佐賀、沖縄(今回は参加せず)から選ばれた選手たちは、少ない機会ではあるが7人制で必要な練習を積んできた。特に、パスで抜くアタック、2人で1人を止めるディフェンスと、ポリシーが一貫した指導で、コツコツと成長してきた。敗れた大阪府選抜は、7人制の技術では少し劣ったが、個々の前に出る力は印象に残った。
天理、久我山ともに、BK陣の才能は素晴らしく、将来が楽しみに
九州北部選抜はランニングスキルも高かった