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「鉄板」LOトンプソン ルーク、最後のW杯へ…「私は私の仕事にだけ集中」

2015.09.18

外国出身選手のなかで最も多く桜のジャージーを着てきたトンプソン ルーク(撮影:BBM)

 4年に1度のワールドカップ(W杯)には今度で3大会連続での出場となる、日本代表59キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)のLOトンプソン ルークは、日本語での談話に決意を込めた。

「むっちゃ楽しみ。W杯は、一番レベルの高い大会だから…」

 身長196センチ、体重108キロの体躯で空中戦、地上戦で骨惜しみなく身体を張る。2007年のフランス大会、11年のニュージーランド大会と、2度のW杯でジャパンのレギュラー格だった。

「毎回、毎回が特別。2007年は初めてだったし、11年は僕の故郷のニュージーランドでの大会だったから家族や友だちも集まってくれた…。でも、今度は、僕の最後のチャンス…」

 語ったのは、19日に南アフリカ代表との予選プール第1戦をおこなうブライトンでの取材機会である。34歳の愛称「トモ」さんは、18日に開幕するイングランド大会を「最後」のW杯とする、と言った。10数分の共同取材の間で、「最後」という言葉を何度も繰り返した。

 ニュージーランドはクライストチャーチで生まれた。NPC(当時の国内地方代表選手権)のカンタベリー代表だったが、キャリアアップのきっかけを掴むべく2004年に来日する。2年間、三洋電機(現パナソニック)でプレー。06年度に移籍した現所属先の近鉄では、クラブ史上初となる海外出身者の主将も経験した。2010年には日本国籍を取得し、いま、来日12年目のシーズンをジャパンの一員として過ごす。笑みを浮かべ、関西弁で話した。

「昔の僕のイメージでは、日本で1、2年プレーしたら、あとはカンタベリーで…というものだったね。いま、12年目? 信じられへん。すごく早かったね」

 2007年大会のカナダ代表戦(9月25日・ボルドー/△12-12)のノーサイド直前に、W杯の日本代表の連敗を13で止めるコンバージョンゴールを蹴ったCTB大西将太郎(現豊田自動織機)は、「僕のなかでのジャパンの鉄板のLOはトモとキンちゃん(大野均、国内歴代最多の94キャップを誇る)」と話す。

 現指揮官のエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)は一時、「いまのジャパンでプレーするにはフィットネスが十分ではない」とLOトンプソンを外したが、いまは「毎回、身体を張って戦っています。足首もねじ曲がっていて、それでも毎週100パーセントで戦っています」と称賛。常に身を挺す姿勢が、最後は、指揮官の考える国際的選手の条件にはまった。

 当の本人は、「最後」と決めるW杯に向けてこうも言う。

「楽しみ。そして、勝ちたいって感じる。エディーさんは2012年、僕の身体を心配していた。13、14年と少しずつプレーして、いまのチームはすごくいい感じ。私たちの準備は前よりもレベルアップしている」

 ジャパンは南アフリカ代表戦を皮切りに、スコットランド代表戦(23日・グロスター)、サモア代表戦(10月3日・ミルトンキーンズ)、アメリカ代表戦(11日・グロスター)を控える。大会全体を通しての初戦の意味合いを問われた「トモさん」は、「それは考えてない」と即答する。

「私は、私の仕事にだけ集中ね。ブレイクダウン(肉弾戦)とセットピース(スクラムやラインアウトなどプレーの起点)。相手は、関係ない。しっかり相手を分析はするけど、それを見すぎて自分の仕事を忘れちゃったらダメだから。私たちのゲームプランに、ホンマに集中する。私たちのFWが相手のFWとイーブンだったら、勝ち目がある」

 一戦必勝という気概を胸に、「最後」の大舞台に挑む。

(文:向 風見也)

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