ラグビーリパブリック

狂う人がさらに…。 中大FL佐野は、世界に触れて変わったと言い切る

2015.09.16

今シーズンの中央大のキーマンになりそうなFL佐野瑛亮(撮影:松本かおり)

 序盤から魅せた。

 敵陣10メートル付近での法大ボールスクラム。球が出るや、中大の2年生であるFL佐野瑛亮が後列脇から飛び出す。相手のSH根塚聖冴、SO金井大雪と、パスの供給源を順につぶした。

「向こうのハーフ団(SHとSO)は1年生。プレッシャーをかけていこうと、チームで話していました。相手のアタックの形を出させないように、と」

 しばし敵陣でプレーして迎えた前半12分、敵陣22メートル線付近左で法大が反則を犯すや、球を拾ってそのまま速攻を仕掛ける。タックラーの網を突き破り、先制トライを決めた。

「ここは行くしかない、と反応することができた。案の定、相手は全然セット(準備)できていなくて、そこをかいくぐれました」

 9月13日、埼玉・熊谷ラグビー場。関東大学リーグ戦1部の初戦で、前年度5位の中大が同3位の法大とぶつかっていた。昨季からレギュラーだったFL佐野は、後半27分の追加点を挙げ、頭から突っ込むようなタックルやオーバーを連発した。26-13での勝利後、こう明かすのだった。

「相手がでかい、周りには優れた選手…。ラグビーへの考え方が変わりました」

 6月、イタリアへ出向いた。ワールドラグビーU20チャンピオンシップを戦う20歳以下(U20)日本代表に追加招集されたのだ。その時はあごの骨折の治療を終えたばかりだったが、「準備はできていました」。復帰戦は15日、現地でのU20サモア代表戦だ。29-12で破り、同大会残留を決めた。

 途中で加わったFL佐野にとって、同大会は2試合のみと短いツアーだった。そのなかでも、正確なハンドリングスキルの必要性などを再確認。何より、タフな国際試合を通して精神を磨いた。

「すごくプレッシャーがあった。ただ、それを自分のいいプレーに活かせるように、と考えられるようにしました」

 帰国後の姿を、松田雄監督は「ひとまわり大きくなろうと努力している。黙々とやるタイプだったのが、喋るようになって…」と見る。当の本人も、「自分から引っ張れるようにしています」と認めた。

「自分が経験してきたスキル、考え方をチームで共有すれば、総合力が上がる。そう思って、喋っています」

 20日には東京・上柚木運動公園陸上競技場で大東大(前年度4位)とぶつかる。相手にはトンガからの留学生が揃う。

「大学選手権ベスト4というチーム目標に向けて、次、勝ち星を取る。外国人選手の前に、いかに自分たちのディフェンスを発揮できるか…。ロータックル一発で倒しきらないと、国際舞台では厳しい。自分1枚で、倒せるようにしたいです」

 イタリアでの経験から日本代表入りを熱望するようになったFL佐野としては、外国人とのぶつかり合いがフォーカスポイントの1つとなろう。

(文:向 風見也)

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