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またも南アから好助っ人! NTTコムのブリッツ、ハイパフォーマンス示す

2015.09.12

NTTCOM

 指揮官からの評価もうなぎのぼりだ。NTTコムのロブ・ペニー ヘッドコーチは、来日して2か月目という新助っ人をこう評した。

「NTTコムに上手くフィットしてくれています。オフフィールドでも謙遜の心を持っています。チームにとって、プラスになる存在です」

 話題に挙がったのはヴィリー・ブリッツ。今季の南半球最高峰スーパーラグビーではチーターズでプレーした27歳だ。身長193センチ、体重108キロの体躯ながら、リアクションスピードと運動量で魅せる。グラウンド外での献身ぶりは仲間からも好評。加入6年目、31歳のFL小林訓也もこう証言する。

「(周りのモチベーションを)上げるのもうまいし、真面目。それに、すぐにスイッチが入る。コンタクトの練習をやるぞ、となった時、日本人だと徐々に上がって…というところがあるんですけど、ヴィリーは最初から100パーセントの力を出す。4週間で『頑張ります』『お願いします』といった日本語のあいさつを覚えたみたいで、いつもコミュニケーションを取って日本になじもうとする。だからこちらも近づきやすい。人柄、いいですね」

 11日、東京・秩父宮ラグビー場。日本最高峰ラグビートップリーグ(TL)の今季の前哨戦、プレシーズンリーグのプールC第2節でのことだ。

 チームはクボタを20-0で制して今年度初勝利を挙げるも、WTB鶴田諒ゲーム主将は「まだまだ完璧な試合ではない」。横幅の広い攻撃陣形による展開スタイルを遂行も、時にチャンスをミスでつぶし、時にクボタの守備網の穴をえぐりきれなかった。「選手は成長してくれている」と話すペニーHCも、こう認めざるを得なかった。

「判断力を育てるコーチングは難しい。きょうはもう4〜5回、トライを取れそうな場面はあった。判断力を身に付けて、そこを取り切れるようにならないと」
 
 そんなゲームを締めたのが、後半21分から登場のブリッツだった。

 LO、FLなど複数のポジションを任されるなか、この日はNO8として出場。23分にはハーフ線付近左のスクラムが解けると、最後尾から一目散に味方へのサポートに走る。守備網を破った仲間からパスを受け取り、次なるタックラーとぶつかりながらWTB菊池功一郎へパス。持ち前の反応速度を活かしたプレーで、追加点を演出した。まもなくスコアは17-0となる。

 守ってもブリッツは奮闘。終盤の34分には快走するランナーを追いかけ、タックル。すぐに起き上がってボールに手を絡め、反撃のリズムを遅らせた。

「日本は本当に素晴らしい文化があって、人もいい。愛さない理由はわからない」

 こう語る殊勲の人を、元サントリー監督の大久保直弥FWコーチも称賛する。

「チームプレーヤーで、ハードワーカー。相手にとっては嫌がられる存在になると思います。周りに相乗効果をもたらせる選手でもある。金正奎(FL=23歳)、鶴谷(昌隆・LO/FL=24歳)、山下(弘資・FL/NO8=27歳)のような若いFWは、彼と一緒にプレーをするなかで『スーパーラグビーの選手もこれだけ動くんだ』と勉強してほしい」

 神戸製鋼のCTBジャック・フーリー、サントリーのSHフーリー・デュプレア、パナソニックのCTB/WTB、JPピーターセン…。ここ数年来、献身的な南アフリカ出身者が相次いでTLに挑んでいる。その理由についてブリッツは、こう話していた。

「とても展開が速い日本のラグビーで身につくスピーディーな判断力が、スーパーラグビーでも活きるからだと思います。能力の向上につながっているのです」

 チーターズでは主将を務めたことのあるブリッツも、その隊列に加わるか。

(文:向 風見也)

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