ラグビーリパブリック

示したハードワーク。ジョージア戦勝利でジャパンがつかんだもの。

2015.09.07

手応えをつかんだジャパン。いざ本番へ。(撮影/出村謙知)

「今週、やったのはスクラムとモールだけ」(FLリーチ マイケルキャプテン)
 たぶん、この試合はそれだけで良かったのだ。
 遡ること9か月と2週間ほど。来日してきたイタリアも含め、破竹の11連勝を続けて世界ランキングを10位に上げていた日本は、2015年の最終戦で対戦したジョージアに極論すればスクラムとモールだけで負けた。
「粉砕された」(PR三上正貴)
 そんな強い言葉が飛び出すほどの衝撃。欧州でも強いと言われるイタリアとも対等に組めるなど、昨年の時点で「日本の武器」(LO大野均)との認識を持っていたスクラムだが、「我々のスクラムは強くなっている。ただ、大きなスクラムに対して、十分に強くはなっていなかった」(エディー・ジョーンズHC)ことが明らかになったのが、昨年11月のジョージア戦だった。

 ワールドカップ(以下、W杯)イヤーの今年、明らかに増えたスクラムセッションの中でも、度々「グルジア(ジョージア)」という単語が飛び出すなど意識されてきた相手とW杯前の最終戦で対戦する。再び奈落の底に突き落とされるリスクも潜んでいたが、今年に入ってのハードトレーニングを経て「自信はある」(PR畠山健介)状態で臨んだ一戦だった。
 ジャパンは立ち上がりから、まさしく真っ向勝負に打って出る。ファーストスクラム前のファーストラインアウトでいきなりモールを組んで前進。相手ボールラインアウトも軽くスチールしてみせた。
「日本におめでとうと言いたい」
試合後の記者会見でそう脱帽感を表明したのは、ジョージアのNO8マムカ・ゴルゴゼ主将。試合終盤になって、日本がスクラムで反則を取られるケースが増えたが、「過去2回の対戦ではスクラムでもモールでも8割方ドミネートできた。それが今日は五分五分だった」と、同主将も認めていたとおり、日本のスクラムにプレッシャーがかかっているようには全く見えなかった。

 スクラムとモールだけに集中してきた影響もあるのだろう。安定したボールデリバリーを続けた割にフェイズを重ねても有効なゲインを得られないアタックも少なくなく、試合終盤までトライを奪えない状況が続いた。前半15分にジョージアに逆転トライを許した後はワンチャンスで逆転できるビハインドのまま試合は進み、恐らくはラストチャンスだった敵陣22m内のラインアウト。迷うことなくモールを組んで一気に押し込み、途中出場のNO8アマナキ・レレィ・マフィが押さえて、劇的な逆転勝利となった。
 残り10分を切った時点で、ジョージアが勝負を決めるFWでのアタックではなく、PGを選択したのも、「本当にハードワークしていた」(前出ジョージアNO8ゴルゴゼ主将)ジャパンから取りきれる自信がなかったとも解釈できる。
 9か月と2週間前からは信じられないほどの力強さを獲得したエディージャパンは、確かにワールドカップ8強へと照準を合わせ始めた。

(文・出村謙知)