関東大学リーグ戦1部での奮闘が楽しみな専修大学(撮影:KOJI FUKUSHIMA)
秋から関東大学リーグ戦1部へ13季ぶりに挑む専大が、開幕前のゲームで好調を維持している。5月からの関東大学春季大会グループCでは全勝優勝。長野・菅平の合宿中も8月15日に前年度全国4強の慶大に32-17で、続く17日にも韓国の高麗大を36-12で制した。元日本代表SHで、はつらつさが売りの村田亙監督は就任4年目。「どんどん、成長していますね」と手ごたえを語っている。
今季のチームは、前年度のシーズンが終了して間もない昨年11月から始動。「オフは3日だけ与えて、ウェイトセッションから始めている」と指揮官は語る。走り込みやレスリングを取り入れた練習で、個々の身体のベースアップを図っていた。
「やり込んだことで、自信をつけてきた」
強みは守備だ。思えば、男子7人制日本代表を率いていた頃から、村田監督の口癖は「ハードディフェンス」だった。専大の学生たちも然り。相手のボール保持者に鋭く2人がかりで突き刺さり、それ以外の選手はきびきびと守備網を形成。じれた攻める側が反則やミスを犯すまで、組織でスペースを埋める意識を貫きたい。村田監督と同じ東福岡高出身のSH古川浩太郎は「NO8徳田(隆之介)など、バックロー(FW第3列)の寝て、起きてという運動量はすごい」と話し、指揮官もこう言葉を添える。
「1人、2人の矢が刺されば、あとは組織で、数で対抗できる。タックルを外されてもすぐ起きて、戻って…と」
攻めては「高速ラグビー」を提唱する。軽快なパスさばきと反射神経が持ち味のSH古川が「スイッチ」となり、縦横無尽にボールを回したい。仕留め役候補はFB田辺雅文。もともとはSHも、「古川と田辺を一緒に使いたい」という指揮官にポジション転向を打診された。いまはタックラーをひらひらとかわすランを繰り出し、ブレイク。陣地獲得用のキックも冴え、「後ろは完全に任せられる」と村田監督からの信頼を勝ち取っている。
課題は選手層か。総部員数は68名。中1日で続いた慶大戦と高麗大戦は、まったく同じ先発要員で戦っている。指揮官は胸の内をこう明かしている。
「メンバーをいじらない、というか、いじれないんです。(主力組が勝った慶大戦も)B、Cチームは負けている。少しずつは、上がっているのですが…」
村田監督は40歳まで現役生活を続けていた。引退したのは2007年度と8年前のことで、最終所属先のヤマハでは現日本代表のCTBマレ・サウとも一緒にプレーしていた。いまでも部員との走り合いなどで負けん気を覗かせる指揮官が、勝負に出る。
「シーズンまで1か月を切った。今年はそう簡単にいかないことは皆がわかっている。そんななか、皆が厳しい練習についてきて、身体つきもよくなってきている。その成果は、出始めている」
9月13日、埼玉・熊谷ラグビー場で昨季4位の大東大と開幕節をおこなう。目標はリーグ戦5位以上に入り、大学選手権に出ることだ。