セントポールズスクールは創立500年以上の歴史を持つ、英国屈指の伝統パブリックスクール。「ザ・ナイン」と呼ばれる名門校の一つ。フットボールが手を使うか否かでサッカーと二分した頃、ラグビー校と並んで手の使用を認めたルーツ校の一つでもある。
イングランドで行われるラグビーワールドカップのPRを兼ねて、日英親善大使として来日。京都では同志社高校、洛北高校と対戦し、菅平では常翔学園、国学院久我山、県立浦和高校、岡谷工業、熊野高校と対戦。最終戦は横浜のYCACグランドで県立横須賀高校、慶應高校と対戦した。ツアー中は長野の小中学生にラグビー教室を開く以外に、京都や長野では有名な寺社を巡り、四国では阿波踊りや座禅を体験。東京では春日山部屋で相撲とちゃんこ鍋を体験し、浅草や渋谷、東京タワーなどを観光した。
最終戦の相手として選んでもらうことができた横須賀高校は、何とかゲーム以外でもホスピタリティーを伝えたいと思い、試合前にオリジナルのハカ「坂東武者」を披露した。このハカは、セントポールズ戦に向けて4日前にゼロから創ったもの。三浦半島に住む我々のルーツでもあり、ラグビー部のシンボルとしている坂東武者をイメージし、日本剣道形の動きを取り入れた。歌詞は元々から歌い継がれている旧制中学校歌「坂東武者」。試合後にセントポールズの選手たちから「あのハカに心が震えた」と賛辞をいただいた。
常に「我々が何者か」を意識し、アイデンティティーと誇りを持ちたいと思っている。立教大コーチ時代は「立教ラグビー宣言」を創るとともに、英語の歌詞の部歌の正確な和訳を全員に科した。前任校の柏陽高校では、部員と一緒に部歌を作詞作曲した。今回はハカを創り練習することで、我々のルーツとアイデンティティーをより強く意識するようになった。
残念ながらゲームは19-29で敗北。ディフェンスでは十分健闘したが、アタックで相手のプレッシャーを受けてミスを連発し、勝機を逃した(横須賀の相手はセカンドフィフティーン。ファーストフィフティーンは慶應と対戦し、57-12で慶應を圧倒した)。
アフターマッチファンクションでは、横須賀の部員たちが団体で「武道」や「オタ芸(秋葉原などのオタクの踊り)」などを披露し、夜遅くまで大いに盛り上がった。