ラグビーワールドカップ2015で、イングランド、オーストラリア、ウェールズと一緒の“死のグループ”に入るフィジーが、パシフィック・ネーションズカップ(PNC)で優勝して弾みをつけた。
カナダのバーナビーで現地時間3日におこなわれた順位決定戦。スワンガードスタジアムに集まった観衆を興奮させたのは、激しく、スピーディーで、華麗なアタッキングラグビーだった。フィジーは今大会のプールステージで引き分けていたサモアと1位・2位決定戦で再びぶつかり、39-29で激闘を制した。
開始90秒、フィジーは身長201センチのLOレオネ・ナカラワが力強く走り抜けて先制トライを挙げた。10-3で迎えた前半19分には、サモアが自陣でラインアウトを失敗し、フィジーがボールを確保してSHニコラ・マタワルが22メートルライン外から中央を切り裂いてゴールへ駆けた。
その後、フィジーの規律がやや乱れ、サモアがPGを2本決めて17-9で前半を終える。
追うサモアは後半の入りがよく、早々に、ゴール前のピック&ゴーからFLジャック・ラムがスコアラーとなり、1点差に詰めた。そして47分(後半7分)、今度は敵陣でのスクラムから、WTBファアトイナ・アウタガヴァイアがキレ味鋭くフィジーの防御網を切り裂き、トライ。17-21と逆転した。
だが、フィジーも黙っておらず、50分、CTBワイセア・ナヤザレヴの力走で敵陣22メートルライン内に入ると、途中出場SOベン・ヴォラヴォラがキックパスで相手を揺さぶり、またもLOナカラワがファイブポインターとなった。
その後、サモアにPGを決められ再逆転されたフィジーだったが、58分、セットピースからトライ。敵陣でのスクラムから左へ展開し、CTBナヤザレヴがまたもブレイクスルーで11、15とつなぎ、ゲームをひっくり返した。
勢いに乗ったフィジーはリスタートのキックオフボールを確保して自陣深くから回し、バックローのペゼリ・ヤトがビッグゲイン。SHマタワルがサポートしてチーム5本目のトライが生まれた。36-24。
12点差とされたサモアは、相手がシンビンで1人少なくなった69分にスクラムからのアタックで5点を返したものの、終盤、フィジーがPG成功でセーフティーリードとなり、結局、10点差のままノーサイド。フィジーが隣国のライバルを下し、3年連続でタイトルを獲得した。
一方、今秋のワールドカップで日本、サモアと同組に入るアメリカは、カナダに15-13で逆転勝ちし、5位で今年のPNCを終えている。
アメリカは前半、LOグレッグ・ピーターソンが相手の頭部を殴ってイエローカードをもらい、嫌なムードが流れたが、10番をつけたAJ・マクギンティが安定したキックで得点を重ね、12-3で折り返した。
しかし63分(後半23分)、そのSOマクギンティが、空中でボールをキャッチした相手選手が着地する前にタックルをしてしまい、10分間の一時的退出となる。
PGで6点差に詰めていたカナダは、数的有利だった70分、WTBジェフ・ハスラーが勇敢にハイボールをキャッチしたあと途中出場のCTBニック・ブレヴィンズにつなぎ、カウンター。カナダの22番は力強い走りとハンドオフでディフェンダーを振り切り、ゴール右隅に飛び込んだ。難しい位置からのコンバージョンも決まり、12-13と逆転する。
だが、最後に笑ったのはアメリカだった。79分、スクラムからのアタックで敵陣深くに入り、シンビン明けのSOマクギンティが冷静にドロップゴールを決め、劇的勝利となった。アメリカは10年ぶりに敵地でカナダを倒し、笑顔でPNCを終えている。
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