ラグビーリパブリック

ブルー・ブルズに受けた肉弾戦圧力 W杯&SRに向けた展望は…。

2015.08.02

ブルー・ブルズの選手とジャージーを交換してグラウンドを後にする宇佐美和彦(撮影:松本かおり)

 壁は厚かった。日本代表のツアーから離れて今週キヤノンに合流したLO宇佐美和彦も、こう天を仰いだ。

「ディフェンス、壁ですね」

 終盤、球を持って守備網に突っ込むも、そのまま跳ね返された。

「(それまでの)アタックでボールを後ろに下げられ続けていて、(自身がパスをもらった時は)2人に狙い撃ちされて…。あそこで前に出られなければ、日本代表にはなれないと思います」

 7月31日、東京・町田市陸上競技場。日本最高峰トップリーグに加入4年目のキヤノンは、南アフリカのブルー・ブルズに3-50で敗れた。

 蒸し暑い気候のなか序盤こそ互いに落球を重ねたが、時間を追うごとにブルー・ブルズが持ち前の集中力を発揮。モールや手数の少ない攻めで加点し、守っても肉弾戦への激しい圧力でインゴールを割らせなかった。キヤノンでゲーム主将だったCTB三友良平は、相手の接点の攻防をこう感じ取った。

「強くて、しつこかった。粘ってガンガン絡んできて…」

 その延長線上に、この日の得点差があったか。自分たちがチャンスを逸した場面と相手がチャンスを掴んだ場面について、永友洋司監督はこう語った。

「こちらは淡泊に点を取られてしまうところがあったと思うのですが、(ブルー・ブルズには)ゴールラインを越えさせないプライドがあった」

 今秋、イングランドでのワールドカップでは、日本代表が世界ランク2位の南アフリカ代表と対戦する。さらに2016年度からはスーパーラグビーに日本拠点チームが参戦。おもに南アフリカのチームとぶつかるカンファレンスへ挑むこととなる。今日の結果を受け、公式会見ではこの先の展望を懐疑的に観たような質問も出た。勝ったマリス・マレー ヘッドコーチは率直だった。

「(スーパーラグビーについては)最初は、難しい状況が続くと思います。こういう場所で理想的な試合展開をするには、経験が必要です。ただ、2019年の日本でのワールドカップに、世界中からいろいろな国が来る。その準備のうえでも、日本がスーパーラグビーに参加することは大切です」

(文:向 風見也)

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