ラグビーリパブリック

町田で5000人沸く。ブルー・ブルズ大勝。キヤノン、HO欠き崩れる。

2015.08.01

BC

最後まで接点上回ったブルー・ブルズ。キヤノンはトライラインを越えられず。
(撮影/松本かおり)

 赤い矢がグサリと刺さることも少なくなかった。ただ、青いジャージーは雄牛であり弾丸。最後まで荒々しく前へ出続けた。7月31日、町田市立陸上競技場でおこなわれた「町田ワールドマッチラグビー2015 キヤノンイーグルス×ブルー・ブルズ」は50-3でブルー・ブルズが完勝した。

 前半30分、キヤノンのHO庭井祐輔が怪我でピッチを去り、スクラムがノーコンテストとなってから試合は崩れた。先発の背番号2、山本貢が怪我で退いたのがその10分前。結果、HOとしてスクラムを組むことができる選手がいなくなってしまった。
 永友洋司監督は「(言い訳ではありませんが)スクラムとラインアウトから相手を崩したいと思っていたのに、そのプランが実行できなくなった」と話した。低いスクラムで巨漢PRヴェルナー・クリヤ(189センチ、123キロ)を序盤から押し込んだPR菅原崇聖も言った。
「うまく組めていました。相手も嫌がっていたので、そのままいきたかった」
 そこまで14-3とブルー・ブルズがリードしていたものの、キヤノンは必死にタックルしてなんとか均衡を保っていた。しかし、後半に入ってスコアは大きく動いた。

 青いジャージーはシンプルに、そして基本に忠実にプレーして、次々とゲインラインを越えた。SHフランソワ・ホーハートとSOルイ・フーシェのコンビが左右に球を散らす。FLラピース・ラブスカフニらFWがブレイクダウンで重いプレーを見せる。ゲームキャプテンを務めたキヤノンCTB三友良平は「激しいプレッシャーに大事なところでミスが出た。トップリーグでは経験できないものを感じられた」と話した。
 ブルーズ・ブルズは後半だけで6トライ(3G)を奪い36得点。最後まで軽いプレーはなかった。

 5016人のファンの前で、芯の太さを感じさせたブルー・ブルズ。ノリス・マレイ ヘッドコーチは、「(帰国後まもなく始まる)カリーカップに向けての準備ができた」と話した。来日した選手たちは全員チームとの契約を終えており、戦いの目的はスタイルのブラッシュアップとセレクション。ターゲットがはっきりしていたから勝手なプレーもなかった。
 チームと地域が一緒になって企画し、盛り上げ、実行したドリームマッチを終え、敗れた永友監督は「素晴らしい経験をした選手たちをうらやましく思う」と言った。そして言葉を続けた。
「きょうの経験は(シーズンに)生きるだろうし、活かさなければいけない」
 合宿をおこなわないこの夏。キヤノンはプレシーズンリーグ(9月4日開幕)を例年の夏合宿時の試合代わりとし、チームを仕上げていく。
「(ワールドカップとスーパーラグビーにはさまれて)今年のトップリーグは短期決戦ですからスタートダッシュを意識したい」と考える指揮官。体感した世界トップレベルのコンタクトをスタンダードにした戦いを展開するつもりだ。

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