今年のラグビーワールドカップで優勝争いに加わる可能性が高い、ビッグ2の前哨戦。世界ランキング2位の南アフリカ代表は25日、地元ジョハネスバーグ(エリスパーク)に王者ニュージーランド代表を迎え、フルタイムまで激しく競ったものの、20-27で敗れた。
しかし、SOハンドレ・ポラード、CTBダミアン・デアリエンディ、CTBジェシー・クリエルといった20代前半の若い選手が躍動し、4年ぶりに代表復帰したFLハインリッヒ・ブルソーは、HOビスマルク・デュプレッシーやLOルーダヴェイク・デヤガーらとともにブレイクダウンで持ち味を発揮した。
後半33分に相手主将のFLリッチー・マコウに逆転トライを奪われ、勝利を逃したが、後半途中からスクラムがノーコンテストになっていなければ、結果は変わっていたかもしれない。
日本代表が9月19日にワールドカップ初戦で挑む相手、スプリングボックス(南ア代表)は、底力を示した。
PGで先制されたものの、前半9分、HOビスマルク・デュプレッシーが相手NO8キアラン・リードに猛然と襲いかかってからターンオーバーし、大きく左へ回してFBヴィリー・ルルーがすり抜け、最初のトライを奪った。
その後も、若いバックスが力強い走りでゲインする場面が続き、南アがゲームを優位に進めた。20分にはポラードのショットで3点を追加し、10-3とする。
しかし、劣勢ながらも辛抱強く守っていたオールブラックスは前半終了前に追いつく。ハイボールをキャッチした相手選手を捕まえてブレイクダウンでターンオーバーし、展開、この試合が初キャップとなったSOリマ・ソポアンガが突破して、右WTBベン・スミスのトライをお膳立てした。
10-10とされたスプリングボックスだが、45分(後半5分)に会場を沸かせた。SOポラードのフラットパスを受けたCTBクリエルが鋭く防御網を切り裂き、勝ち越しトライを挙げたのだ。
しかし、オールブラックスはその3分後、HOデイン・コールズが同じように勢いよく抜け出してゴールへ走り切り、再び同点とする。
それでも、56分にPGでリードした南アは、リスタート後、瞬く間に敵陣深くに入ってまたしてもPKを得る。ニュージーランドのLOサム・ホワイトロックがイエローカードとなり、南アはポストを狙わずスクラムを選択した。
1人少なくなった相手のFWを後退させた南アだったが、1回目のアタックは実らず、再び組んでゴールをめざすも、負傷した右PRヤニー・デュプレッシーに代わって途中出場したPRヴィンセント・コッホが落球し、好機を逸した。このときコッホはアクシデントで出血して退出を余儀なくされるのだが、スプリングボックスのベンチにはタイドヘッドのスペシャリストが残っておらず(交代したトレヴァー・ニャカニは左右両サイドのPRでプレー可能だが、ルースヘッドPRとして登録していた)、スクラムは押し合わないノーコンテストとなってしまった。
これを機に、ニュージーランドはピンチを脱出する。
そして73分、オールブラックスはラインアウトでのサインプレーが成功して、FLマコウがインゴールに飛び込み、逆転トライ。昨年、同じ会場で南アに連続不敗記録を22で止められていたニュージーランドは、試合終了前にもショットで3点を追加してリベンジを果たし、ラグビーチャンピオンシップ4連覇に近づいた。
南アは今大会の初戦でもオーストラリアに惜敗しており、0勝2敗となった。