(撮影:高塩隆)
ラグビー日本代表は24日(日本時間25日)、敵地のサクラメントでアメリカ代表とのパシフィック・ネーションズカップ(PNC)第2戦をおこなう。今季は南半球最高峰のスーパーラグビーに加盟するウェスタン・フォースでプレーしてきたWTB山田章仁が先発する。
18日にカナダ代表を20-6で制したPNC初戦(アメリカ・サンノゼ)と比べ、9つのポジションで先発メンバーが変わった。今大会初先発となるWTB山田は、12日、東京の羽田空港で今秋のラグビーワールドカップ(W杯)イングランド大会で着用するジャージィの発表会に参加していた。
「めちゃくちゃ、ハードでした」
7月上旬から参加する宮崎でのジャパンの合宿は過酷をきわめる。6月まで海外挑戦をしていた29歳は、こう続けた。
「飛行機が一番休めるから、早く乗りたいです」
イベント後の囲み取材を終える間際、知人を見つけて立ち話。ほどなく記者が集まる。関係者が椅子を用意すると、本人はいたずらっぽく笑う。
「大丈夫です。座っちゃうと、(話が)長くなるので」
今季はスーパーラグビーに挑戦した。フォースでは出番がなかったが、確かな手ごたえは掴んだ。主力組との練習でも「本当に、対等以上に楽しめるところまでやれた」と感じたからだ。
「だから、悔しくもないんですけどね」
本拠地だった豪州から帰国した直後は、つとめて軽い口調でこう話していたものだ。
「もともとなかったですけど、不安というものもやっぱり感じなかったですし。壁、差がないと感じたのは大きいんじゃないかって。練習になじむのは簡単ですけど、そこでアピールするということもできましたから。スーパーラグビー、イケるな、って。(笑みを浮かべ)イケます」
羽田の取材時は厳しい合宿を終えたばかりとあって、「正直、W杯というよりは目の前の練習と試合に集中する気持ちが大きい。きつすぎて、W杯を考える余裕もないです。ちゃんと対戦相手のビデオは観ていますけど」。もっとも、その前にはこんなイメージも語っていた。
「プレーするイメージ、ありますよ。やれる自信もありますし。メンバーは僕が決めるわけじゃないですけど、(メンバー入りのために)やれることはやろうと思います。大舞台、発表会はすごい好きなので、そこに向けての準備は着々とできています。皆にお披露目をしたいという気持ちはあります」
慶大の花形選手だった2007年のフランス大会時は「当時はイケると思っていましたけど、いま思えば絶対に『ナシ』です」。三洋電機(現パナソニック)の一員として2010年度の国内最高峰トップリーグでプレーオフMVPに輝いた直後の2011年、ニュージーランド大会では「(候補合宿に参加時)構想に入ってないな、とは思いました」。W杯出場を具体的に目指すようになり、ようやく3度目の今回、かなり手の届きそうな位置までたどり着いたか。
――本番、出ることになったらどんな気持ちになりそうですか。
北米遠征への出国前、こう言った。
「…さびしいんじゃないですかね。ここまで(特に現代表の合宿で)ハードな日々を過ごしていたので、それが終わりに近づくなぁ、って」
本気で叶えたい目標が叶った時に味わう、ある種の喪失感があるのではないか。WTB山田はそう話したのだ。