ラグビーリパブリック

サラブレッドの明大FB田村、王者と「仲間」になったら「無駄がない」と

2015.07.24

関東大学オールスターゲームの対抗戦選抜でプレーする明治大FB田村煕(撮影:高塩隆)

 関東大学対抗戦Aで昨季3位だった明大の4年、FB田村煕は、日本ラグビー界のサラブレッドの1人である。

 父・誠氏は帝京大、トヨタ自動車でプレーし、昨季は豊田自動織機の総監督として責務を果たした。そして、来季からスーパーラグビー(ニュージーランドや南アフリカなど5か国のトップクラブによるリーグ戦)に参入する日本拠点チームのゼネラルマネージャーを務める。兄・優はNEC所属の現日本代表で、今秋のワールドカップイングランド大会出場を目指している。

 そんななか次男の煕は、「センスでは兄より上」との定評がある。丹羽政彦監督によれば、水面下ではエディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチにも関心を示されたことがある。グラウンド全体の状況を見定め、的確なスペースにロングキックやランを繰り出す。最終学年の今季は、FBとしての出場が濃厚か。身長176センチ、体重89キロの万能BKは、大学選手権6連覇中の帝京大などと大学日本一の座を争う。

――春先のチーム状態、いかがですか。

「ちょっとずつはよくなっている。ただ、きょう帝京とやってみたら、足りない部分は多かったですね」

 こう語ったのは6月28日。東京・秩父宮ラグビー場での関東大学オールスターゲームで、対抗戦選抜の一員としてプレーした直後のことだ(試合はリーグ戦選抜に29-33で敗れた)。後半40分のうち多くの時間に出場したメンバーの15人中12人が帝京大の選手だったなか、王者の王者たるゆえんを目の当たりにした。そのことで、所属する明大とのチーム力との差を再認識したというのだ。

「前半から出ていたLO飯野(晃司)は常に元気で身体を張りますし、みんな、1歩1歩が速いです。細かいところがきっちりとしている。要所、要所で、無駄がない」

 彼我の戦力の違いを端的に認めるのは、勝利への意欲ゆえだ。今後の指針もシンプルに定める。

「これから秋に向けて、弱いところを克服しつつ、(それ以上に)強みを生み出せるように。チームとして何をすべきかを統一していきたいです」

(文:向 風見也)

Exit mobile version