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2か月後にワールドカップで日本代表と対戦する世界ランキング2位の南アフリカ代表(スプリングボックス)は、今年のテストマッチは悔しい黒星発進となった。7月18日、オーストラリアのブリスベンでおこなわれたラグビーチャンピオンシップの第1戦で、南半球のライバルであるオーストラリア代表(ワラビーズ)に20-24で逆転負け。3点をリードしていたが残り30秒で反則を犯し、ワラビーズの執念に屈した。
ワールドカップで優勝をめざす両チームの激しい攻防が序盤から繰り広げられた。
PGで先制した南アは25分、スクラムでプレッシャーをかけ、再びショットで3点をものにする。122キャップ目となったゲームキャプテンのLOヴィクター・マットフィールドが早々に負傷交代するアクシデントがあったものの、NO8スカルク・バーガー、FLフランソワ・ロウ、HOビスマルク・デュプレッシーらが身体を張ってチームメイトを鼓舞した。
一方のオーストラリアは、昨年6勝7敗1分と負け越して世界ランキングは6位まで落ち、期待度の低さはサンコープスタジアムの空席がそれを物語っていた。しかし、のちに会場は熱狂に包まれる。ワラビーズは変わっていた。フランスを活動拠点とするベテランのCTBマット・ギタウが4年ぶりに代表復帰したことで攻撃のオプションは増え、競争がチーム力を上げていた。
32分、敵陣ラインアウトからのアタックで、SHウィル・ゲニア、CTBギタウ、SOクウェイド・クーパーと左へ展開し、クーパーがインサイドに返したところをWTBアダム・アシュリー=クーパーが突き破り、トライを決めた。CTBテヴィタ・クリンドラニのデコイ(おとり)ランも効いた。
逆転された南ア。しかし37分、再びリードを奪うビッグプレーが出る。敵陣22メートルライン内でアドバンテージをもらうと、SOハンドレ・ポラードがキックパス、WTBブライアン・ハバナが空中戦に競り勝ってボールを味方の方へはたき、キャッチしたFBヴィリー・ルルーがLOエベン・エツベスにつないでゴール左隅に飛び込んだ。
13-7で前半終了。
南アは後半早々にも初キャップの21歳CTBジェシー・クリエルがトライを挙げ、20-7と差を広げる。
それでも、ホームで白星発進したいワラビーズは粘り、PGで10点差とすると、70分(後半30分)には敵陣深くでの相手ボールスクラムに押し勝って好機となった。そして、ゴールポスト近くのセットピースから右へ攻めて、最後はFLマイケル・フーパーがインゴールに飛び込む。コンバージョン成功で20-17、3点差となった。
78分、同点を狙ったギタウのPGは失敗。
しかし、ドラマはフルタイムまで残り30秒を切ってから起こった。敵陣で得たペナルティで、オーストラリアのHOスティーブン・モーア主将はトライを取りに行くことを選択する。ラインアウトからモールを押すことはできなかったが、フェイズを重ねてゴールに迫った。そして、パワフルなCTBクリンドラニが身体を回転させながらボールをねじ込む。南アの選手たちは必死に止めに行ったが、ビデオ判定の結果、ゴールライン上にボールを押さえたことが確認され、オーストラリアの劇的な逆転勝利となった。
ハイレベルな南半球4か国対抗戦。次週、南アフリカはホームでニュージーランドと激突し、オーストラリアは敵地でアルゼンチンと対戦する。