大学選手権6連覇中の帝京大が11日、国内最高峰トップリーグ(TL)のサントリーと練習試合をおこなった。
昨季、日本選手権で同じくTLのNECを倒した学生王者。この日は、同選手権準優勝のサントリーに一時19点差をつけるなどペースを握った。ノーサイド直前に勝ち越されて31-33と散ったが、シーズン本格化を前に手ごたえをつかんだ。
HO坂手淳史主将ら主力組が並んだ前半は、19-7とリードした。「アグレッシブ・アタッキング」を文化に掲げる社会人の強豪が攻めた先で、学生たちが組織守備を機能させた。PR堀越康介によればこうだ。
「ファーストタックルと同時に、セカンドマン(タックラーへのサポート)のドミネート(相手を圧倒する)にこだわっている」
前半12分、CTB森谷圭介が自陣左の密集脇でインターセプトを決め、そのまま約50メートルを走り切って先制する(5-0)。続く26分には、自陣で我慢の守備を重ねたところでサントリーが反則。直後のペナルティキックで得た敵陣中盤左でのラインアウトを確保し、出された球を持ったSO松田力也がスペースをえぐる。最後はLO飯野晃司がインゴールを駆け抜けた(12-0)。LO飯野は守っても好タックルを連発し、SO松田にも「ナイス、という感じ。心強いです」と称賛された。
学生たちを率いる岩出雅之監督は「(シーズンが深まり)お互いが細かい戦術、戦略を出していったらもっと味が出てくる」と、お互いがプレーの選択肢を限定させていたのではと指摘する。しかし、相手陣営の感触は違った。
一昨季の帝京大の主将で、この日はサントリーの一員として先発フル出場したCTB中村亮土は、後輩たちの成長を認めざるを得なかった。
「帝京大、強いっす。接点で何回もめくられて。やっぱり、自信があるんでしょうね。『我慢すれば大丈夫』と。僕らのときは、TLのチームと対戦するときは『我慢できる』というところまで行っていなかったですが。1、2段階、レベルアップしています」
後半の帝京大は相次ぎメンバーを入れ替えながら、10、16分と着実に加点。HO坂手主将、LO飯野、SO松田らリーダー格のメンバーが引き下がった後に逆転負けを喫したが、指揮官はこう振り返る。
「成功して残るものと、失敗して残るものがある。(主力と2番手の力量差に)断層があるから、それを埋めている(最中)。ウチには150人ほども部員がいますから。皆(多くのメンバー)を出したら、(そこに出られなかった)『俺も出たい』と思うじゃないですか。皆が(前向きになっている)空気を出していかないと」
クラブの総体としての経験値を高めた格好の学生王者。今季はトーナメントからTL王者との一発勝負へと方式が変わった日本選手権で、優勝を目指す。