やはり、この人はこの人だった。おおらかな口調で包み隠さず現象を語る。7月4日、都内にあるスポーツ専門チャンネル「J SPORTS」スタジオ。ラグビー日本代表で32キャップを誇るHO堀江翔太が、自身2度目となるワールドカップ(W杯/イングランド)に向けての展望を語った。
昨季までずっと、痛みをこらえてプレーしていた。2月中旬、首の手術。前年度まで2季続けて在籍したレベルズ(オーストラリア)でのプレーは、断念した。
見据えているのは4年に1度の大一番、W杯での躍動だ。ニュージーランドでの前回大会は4戦未勝利で終え、「(思い通りにいかないことへのいら立ちは)…ないっすよ」とだけ言い残している。
「きょう(決勝戦を)観てるとスーパーラグビーでやりたかったなと思いますけど、ワールドカップへの思いが強くて、スーパーラグビーを諦めたので」
オフ期間中のこの日は、南半球最高峰であるスーパーラグビーの決勝戦の中継があった。ハイランダーズがハリケーンズを21-14で下し、初優勝を遂げたウェリントン・ウエストパックスタジアムでの一戦。スタジオでゲスト解説を務めたHO堀江は「ハイランダーズのほうが、相手の強みを消したり弱みを突いたりする部分が多かったと思います」と振り返り、そのままジャパンの現在地について話した。
「相手がいるからこそラグビーが成り立つのであって。自分たちのラグビーと同時に、相手のラグビーを知ることが大切ですよね。(W杯に向け、ここまでのジャパンは)自分のラグビーを理解するのに費やした感じではありますね。スタッフからは、例えば(予定されている各試合ごとに)『セットプレーはこうで…』という自分たちの戦い方を落とし込まれた。『相手(南アフリカ代表、スコットランド代表、サモア代表、アメリカ代表)はこういう感じだから、自分たちはこうだ』と。相手はメンバー(が誰になるか)によっても(様子が)変わると思うんで、スタッフから言われるものだけではなしに、自分でも(この先、相手がおこなうテストマッチを)観て考えていきたいですね」
4月から宮崎でおこなわれている日本代表合宿へは、5月に合流している。リハビリと並行して全体練習にも加わり、体調とにらめっこをしているようだ。練習中にあった1200メートル走測定では「FW(HOを含めたポジション群)で一番でした」と、復調ぶりの手ごたえも語った。
「(以前は動かせなかった)親指にも力は入ってきている。薬指、小指、人差し指は(スムーズには)上がらないですが。スクラムも全然、大丈夫だと思いますよ。(他にも怪我人がいたため)ちゃんとは組んでいないですけど」
ジャパンは7月6日から宮崎合宿を再開。12日からの北米遠征では、カナダ代表、アメリカ代表、フィジー代表などとのパシフィック・ネーションズカップ(PNC)に挑む。W杯では予選プールで南アフリカ代表などとぶつかるが、「あまりW杯を見すぎて目の前の試合をおろそかにすることはよくない」とHO堀江。気を引き締めながら、自身の実戦復帰への意欲も示した。
「6月、チームはすごい無茶な練習をしてきたので、メンタル的にも、技術的にも、体力的にも、すべて上がっている。ここからスーパーラグビー組(ハイランダーズのSH田中史朗=44キャップら6名)が(ジャパンに)戻ってきて、いい刺激にもなる。『(国内残留組は)あんなにしんどい思いしてきたのに、負けるか!』と。PNCで、その成果を出す。(自身も)どんな試合でも、常に出るつもりではいる。ケツをポンと叩かれたら準備はできてますよ、と」