今春は日本代表の代理主将を務めたPR畠山健介が、自身2度目のワールドカップ(W杯)へ決意を新たにした。3日、東京・府中の所属先であるサントリーのクラブハウスで取材に応じた。
「リーダーグループの選手同士で、どうチームを(いい状態に)持っていかなければいけないかをグラウンド内外で考える。それをトップカテゴリーでするのは、なかなかないこと。貴重な経験をさせてもらいました」
代理主将を務めた春シーズンをこう総括するPR畠山は、宮城県気仙沼市生まれの29歳。獲得してきた63キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)は、現代表メンバーでは2番目の多さだ。身長178センチ、体重115キロと国際レベルでは決して大柄ではないが、高度な戦術理解と躍動感ある走りを長所とする。これまで南半球最高峰のスーパーラグビーでプレーしてきたFL/NO8リーチ マイケル主将には「彼が一番、チームの力になっている」と信頼される。
前回のW杯には、苦い記憶しかない。2011年のニュージーランド大会では、予選プール1分3敗。チームが必勝を期して臨んだトンガ代表戦(ファンガレイ)も18-31で屈し、PR畠山はミックスゾーンをノーコメントで通過した。ショックの大きさからだ。以後、さらにキャリアを重ねたPR畠山はこう続ける。
「(前回大会を振り返ることは)思い出として、ということはないですね。もっとも、『反省を踏まえてこうしよう』と、教科書として見ることはあります。前回もいまと同じ準備をしていたつもりなんですけど、振り返ったら『あ、あれは違ったな』と思うことは多いです。スクラムでもっとこうすれば…というものがあって、いざ(次の)本番、その場に立てばそれをやってみたいと思うことは多々あります。フィジカルをもっと上げなくては…と思うこともある。ストレングスのパーセンテージは上げなきゃいけない」
7月6日、主要滞在先である宮崎で合宿を再開。12日からの北米遠征では、カナダ代表、アメリカ代表、フィジー代表などとのパシフィック・ネーションズカップ(PNC)に挑む。W杯では予選プールで南アフリカ代表、スコットランド代表、サモア代表、アメリカ代表とぶつかる。
「まずPNCでどう戦うかが重要になってきます。ただW杯についても、いまの段階で対戦相手の情報は入れています。どう戦うか、選手、スタッフの間で少しずつ共有できてきている。W杯は、出たいですから。出て、活躍したいですから」
自身2度目の大一番へ。現実を踏まえた視点から「W杯で勝つのは難しいと(改めて)感じる」と言いつつ、「いい準備ができているとは感じます。信じてやりきったものを本番でも出す」とも続けるのだった。
「前回はW杯に出ることが目標で、活躍することにフォーカスは当てられていなかった。それで、チームとしても個人としてもいい結果は残せなかった。今度はチームが掲げている目標に対して何らかの貢献ができれば、と日々考えてやっていきます。そのためにこの1週間も、十分に休めたとは思う。まずは、合宿から頑張っていく」