MVPに選ばれた東海大の藤田貴大(撮影:高塩隆)
関東大学オールスターゲームが28日、東京・秩父宮ラグビー場であり、リーグ戦選抜が対抗戦選抜に33-29で勝った。関東大学対抗戦と同リーグ戦の各選抜チームが激突するゲームは今回が第3回目。大学選手権6連覇中の帝京大が加盟する対抗戦選抜を向こうに、リーグ戦選抜は2連勝を決めた。
終盤、リーグ戦選抜が逆転劇を演じた。メンバーの23名中12名が帝京大の選手という対抗戦選抜とのシーソーゲームにあって、勝った内山達二監督(流経大)は「ワンチームになるのが速かった」。この日2トライを挙げたWTBホセア・サウマキ(大東大3年)も笑顔だった。
「きょうはアタックもディフェンスも、良かった。僕とテアウパ(シオネ=流経大3年)がラインブレイク。その次のチャンスを決めた」
後半開始。14-12とわずかなリードを保っていたリーグ戦選抜を前に、対抗戦選抜は全てのリザーブを一気に交代出場させる。いずれも帝京大の選手だ。前半から出ていたLO飯野晃司(帝京大3年)は、「言葉には表しにくい安心感があった」。後半25分にはSO松田力也(帝京大3年)を軸にしたカウンター攻撃、SH荒井康植(帝京大4年)のターンオーバーからの連続攻撃が流れるように決まった。FL廣川翔也(慶大3年)がインゴールを割った。直後のゴールも決まり、21-29。対抗戦選抜がリードを広げる。
もっとも、リーグ戦選抜のFL藤田貴大主将(東海大4年)は言った。
「個々の能力が高いので、たった一言で、変えられる。そこが大きな力」
リーグ戦選抜は、ラスト20分から「ゲームプランをチェンジしていた」とWTBサウマキは語る。密集から大外まで、一気にパスを回すよう意識したようだ。FL藤田は「ホセアなど、外にいいランナーがいた。まず、ゲインを切れば(帝京大勢を軸にした守備網も)崩れる、と。そこがはまった」。29分にラックを連取した先でPR五十嵐優(東海大4年)が、続く38分には敵陣ゴール前左タッチライン際からFB桑江健一郎(流経大3年)が、それぞれインゴールを割る。33-29。いずれの得点も、留学生らの突破が遠因となっていた。
ノーサイド。敢闘賞を獲得した対抗戦選抜のLO飯野が「ひるんではいなかった。ただ、我慢比べで負けた」と敗戦を振り返るなか、この日のMVPとなったのはリーグ戦選抜のFL藤田主将だった。ランナーとして、援護役として、接点に杭を打ち続けたリーダー。グラウンド外でのまとめ役としても評価された。賞品に「吉野家の牛丼無料券、1年分」を手渡された。
「自分のなかではそんなにいいプレーはしてなかったんですけど、選んでもらえたってことはどこかいいところがあったということで。(賞品について)近くに吉野家がないんですが…。オフの時などに考えて使います」